タイガー『M5』、DJ『M6』。プロは何を使っても飛ぶ?
「テーラーメイドでなくとも、そして、最新モデルのドライバーではなくとも、どんなドライバーを使っても飛ぶだろう!」
と、思ってしまうのがアマチュアの常だ。ところが、現実にことはそう簡単に運ぶわけではない。それは、我々アマチュアゴルファーがそうではないのと同様に、「何を使っても同じ飛距離」というゴルファーは、プロにもアマチュアにも存在しない。
これまでのツアープロ支給品より、新作は反発係数が高い
そんな市販品よりも反発係数が高いのが、テーラーメイドが“ツアースパイシー”と呼ぶツアープロへの支給品。ヘッドを1つ1つ検査して、反発係数が高いものだけを支給しているので、市販品よりも飛びのポテンシャルが高い。噂どおり、プロは我々アマチュアよりも飛ぶという噂は本当だった。
すべてのヘッドを検査してギリギリのものだけを出荷
しかも、出来上がったヘッドは全て検査をし、本当にギリギリのものだけを出荷している。つまり『M5』『M6』は、誰もがツアースパイシーよりも高性能なヘッドを使える、夢のような“ぶっ飛びドライバー”なのだ。
『M5』『M6』のフェースの外周は従来よりも20%薄く、反発係数はルール上限をオーバーしている。その裏側にあるポケットに、フェースのネジ穴からレジン(樹脂)を注入することで、反発係数をルール範囲内に抑える。この方法ならすべてのドライバーヘッドが、ルールギリギリの反発を実現できるのだ。
新作発表会ではテーラーメイドゴルフのブライアン・バゼル上級副社長が、『M5』『M6』の反発係数の高さを説明。「いったんルールを超えたヘッドを作り、レジンを注入することでルールギリギリに戻すのが『M5』『M6』のテクノロジーです」
【弾道計測で実証】M5・M6は前作より初速が平均1.1m/s伸びた!
【試打・解説】橋本 潜
はしもと・せん/日本プロゴルフ協会A級ティーチングプロ。Sen Hashimoto Golf Academyを主宰。最新機器を使用した科学的なレッスンを行っており、クラブに対する造詣も深い。なお、テストでは明らかなミスショットを除く5球の平均値を算出した。試打時のヘッドスピードは43±0.3 m/s。試打ボールはテーラーメイドのツアーボール『TP5x』
テストの結果、HS43m/sで打ったときのボール初速は、『M5』が前作よりも1.0m/s、『M6』が1.2m/s上がり、平均で1.1m/sアップした。「M5、M6ドライバーは前作よりも打感が柔らかいのに、明らかにボールの飛び出すスピードが速いですね。一般的にボール初速が1m/s上がると飛距離が5〜6ヤード伸びると言われているので、飛距離を伸ばしたい人には大きなメリットです」(橋本)
■スイートエリアの広さも飛距離アップをサポート■
また、初速が伸びた背景には反発係数だけでなく、スイートエリアの広さも大きく影響していると橋本プロはいう。
「前作のM3、M4も方向性に優れたクラブでしたが、M5、M6はさらに曲がりにくいですね。明らかなミスショットを除く5球のボール初速を見ても、M3は一番高い数値と低い数値の差が1.1m/sなのに対し、M5は0.4m/sとバラつきが少ないので、ミート率に自信がない人は、さらに飛距離を伸ばせる可能性が高いですよ」(橋本)
これら『M5』『M6』が史上最高のスピードで“曲がらない飛び”を手に入れたのには、大きな2つのテクノロジーが効いている。
インパクト時のエネルギーロスを防ぐハンマーヘッドスロットがさらに進化。また、クラウンに加え、ソールのカーボン部分の割合が増えたことによる設計自由度の向上と相まって、スイートエリアの広さが前作よりも約66%アップした。
製造段階でフェースのトゥ側が開き、ヒール側が閉じる方向にネジレたツイストフェース。フェースが被ってトゥ側に打点がズレても引っかけやチーピンがドローに。また、フェースが開いてヒール側に打点がズレてもプッシュスライスが力強いフェードボールになる画期的な構造だ。