ゴルフの春の祭典、「マスターズ」がいよいよ現地時間4月6日（木）に開幕を迎える。19年大会で11年ぶり15回目のメジャー制覇を成し遂げたタイガー・ウッズ（米国）は、4大メジャーのなかでは自身最多となる5度のマスターズ優勝を誇る。2000年代に全盛期のウッズと米ツアーで同じ時間を過ごした丸山茂樹に、ウッズ優勝の可能性を聞いてみた。
ウッズは今大会で出場は25回目。予選落ちはアマチュア時代の96年に1度だけで、それ以外の24回で決勝ラウンドに進出している。とはいえ、47歳という年齢に加えて、21年2月に起こした自動車事故で右足に大けがを負い、歩くことも困難な状態に。
懸命なリハビリに努めて22年のマスターズで復帰を果たし47位。以降、ツアーには「全米プロ」で途中棄権、セント・アンドリュース開催の「全英オープン」で予選落ち、自身がホストを務める今年の「ジェネシス招待」で45位と3試合にしか出場していない。19年も腰の手術などの影響で、「ウッズはもうメジャーに優勝できない」といわれるなかでの復活Vだった。そんななかでの自動車事故はウッズのキャリアに暗い影を落としている。
優勝の可能性について丸山は「ない」とバッサリ。「冷たいかもしれないけど厳しい。もちろん優勝目指して頑張ってもらいたいけど、『できる』と僕は簡単には言えません。タイガーはゴルフ界の神なので、そういう目では見てはいけない。本当に出てくれることに感謝ですよ。歩いてゴルフをやってくれていることに感謝しないといけない」。
丸山がそう断言するのは2月の「ジェネシス招待」でウッズのプレーを見たから。「正直4日間はきつい。われわれプロゴルファーは日曜日に向かって調子を上げていかないといけない。タイガーの体力が日曜日まで持たないのは本当にかわいそうだと思う。マスターズを6度勝っているジャック・ニクラスが言うように、あそこは体力のある人間でないと勝てない。オーガスタみたいなところは、体力を失うと集中力が出なくなってくるんです。あの体で勝負するのは…頑張ってほしいけどね」と話す。
「ただ」と丸山は続ける。「夢を捨てない姿はかっこいい。僕は尊敬します」。ニクラスが持つメジャー18勝にはあと3勝足りない。いまは体のケアにたくさんの時間を費やさなければ、次の日にプレーできない体になってしまった。それでも勝つつもりでオーガスタに乗り込んできた。
「オーガスタ・ナショナルはとても特別な場所であり、このゴルフコースでプレーできることは、僕にとって大きな意味を持つ。僕の人生の多くがこのオーガスタ・ナショナルで行われてきた」と開幕前の公式会見で語ったウッズ。夢を追い続ける47歳の挑戦がまもなく始まる。
