<全米オープン最終予選(日本会場)一日競技◇25日◇日野ゴルフ倶楽部 キングコース(滋賀県)◇6989ヤード・パー70>
27歳の大西魁斗が、「ボーナス」と表現する海外メジャー「全米オープン」(6月18~21日、シネコック・ヒルズGC/ニューヨーク州)の切符をつかんだ。
一日2ラウンド(36ホール)の長丁場を戦い終え、ホールアウト直後には「長かった…」と心の声も漏れる。「64」、「65」で回り、トータル11アンダー。出場枠3人のうち、2番手で自身初の本戦出場を決めた。
「PGAツアーの華やかな場で戦って、それが1年間で終わってしまった。辛い時期が長かった。でもこうしていいこともあるんだな、と思いました」
5歳でゴルフを始めると、練習環境を求めて9歳で渡米。13歳で世界トップレベルの選手を育てるIMGアカデミーに入学した。学生時代には「全米ジュニア」(2016、17年)、「全米アマ」(19、20年)といった大舞台も経験。21年に日本でプロ転向し、22年「フジサンケイクラシック」でツアー初優勝を飾った。
23年からの2年間は、米国男子下部のコーン・フェリーツアーに参戦。24年には「UNCヘルス選手権」で同ツアー初優勝を挙げ、ポイントランキング25位で翌年の米男子ツアー(PGAツアー)出場権を獲得した。そして25年は念願の舞台に立ったが、シードには届かず。米国で苦い経験も重ねた。
これまでを振り返ると、「(22年の)日本ツアーのルーキーのときが、ドライバーは一番良かった。でも感触はまったく良くなかった」と話す。それでも結果的に球は真っすぐ飛んでいたという。米下部ツアー1年目はその状態で臨み苦戦。優勝した2年目は「スイングを変えて良くなったが、PGAツアーの結果にはつながらなかった」と振り返る。
大西が考える米ツアーは「(調子の)現状維持というのは無理。どんどん成長しなきゃいけない」舞台。その中で試行錯誤を重ねてきたが、「去年もうまくいかず、今年も苦しい時期が多かった」と振り返る。ただ、「(これまで)取り組んできたことが、きょうは良かった。感触は良くなかったんですけど、結果は良かったので、(これまで)逆に感触を追い求めすぎちゃったのかな、って思いました」と新たな気づきを得た。
米国で過ごした時間が長いからこそ、海外メジャーへの思いは強い。「結果を追えばいいわけではない。(会場の)シネコックに行って力むと思いますし、でもそこで去年の経験が生かせることを祈っています。まずはスイングを調整して(挑みたい)」。そして「内藤(雄士)コーチも喜んでいると思います。試合会場ではなくて、裏でたくさん取り組んでくれているので、ホント、チームに支えられています」と感謝がこみ上げ、最後は涙がこぼれた。
今季は再び下部ツアーが主戦場。昇格を目指す戦いが続くが、「リセットしなきゃいけないから日本にいるんですけど、これがいいきっかけになって、いい成績に繋がったらいいなと思います」と前を向く。「メジャーには、選ばれた人しか行けない。それを楽しんで、たくさん練習して頑張っていきたいなと思います」と意気込んだ。
22年から、コーン・フェリーツアーの選手が全米オープンでポイントを獲得した場合、それが同ツアーのランキングに加算される制度も導入されている。これまで日程重複によってポイントランキングを上げる機会を犠牲にしていた選手の不利益がなくなり、メジャーへ挑戦できるようになった。今年、同ツアーを主戦場とする大西にとっても心強い。
28日からは「~全英への道~ミズノオープン」(岡山・JFE瀬戸内海GC)で、全英オープン出場権(上位3人)も狙っていく。この涙は通過点。もう一枚の切符、そして明るい未来を見据え、気持ちを切り替えて臨んでいく。(文・高木彩音)
