<MAIN STAGE JOYX OPEN 1日競技◇1日◇JOYXゴルフ倶楽部上月コース(兵庫県)◇7039ヤード・パー72>
歴代賞金王やシード選手が多数出場するツアー外の1日競技「MAIN STAGE JOYX OPEN」に出場した中川勝弥は、5年前に義足となった高校の同級生と32年ぶりに同組でラウンドし、感慨深い1日を過ごした。
「一緒に回らせてもらって、本当に感謝です」と話した今年シニア入りした中川勝弥。大阪の興國高校時代は「関西ジュニア」や「ジャンボ尾崎杯フジサンケイジュニア」を制し、近畿大学時代は「関西学生」などのタイトルを持つ。そして1998年のプロテストに合格し、レギュラーツアーでは優勝こそないものの、4シーズンシード選手として戦った経験を持つ。今大会にも毎年出場している。
プロアマ形式のJOYX OPENは、プロやアマの予選会を勝ち抜いた選手のほか、日本障害者ゴルフ選手会の推薦枠も設けている。今年は予選会を勝ち抜いた友宗秀夫さんが出場権を勝ち取った。興國高校出身でゴルフ部では中川が主将、友宗さんが副主将。団体戦で全国大会にも出場した。また、「日刊ダブルス」ではコンビを組み、当時では珍しい高校生コンビの活躍は注目を集めた。
友宗さんは高校卒業後、プロゴルファーを目指したが2年ほどで断念。その後、家業を継いで10年ほどクラブを握っていなかったが、30歳の頃からゴルフを再開する。競技に出場するなどゴルフを楽しんでいたが、5年前の10月に路面電車と接触して右大腿部を切断する事故に遭った。「気が付いたら病院のベッドの上で、片足がないんです。『もうゴルフができない…』と落ち込んでいました」と右足は義足になり、左足も骨折がひどく、足首にボルトが埋め込まれている状態で、大好きなゴルフを諦めかけていた。
そこで出会ったのが障害者ゴルフだ。「義足を付けてゴルフができると知って、SNSとかでもプレーしている人がいて、またゴルフができると思いました」と2年半ほど前からクラブを握り始めた。
大腿義足はヒザを曲げて踏ん張れずバランスを取るのが難しい。昔のようには振れず「斜面が特に難しい」と試行錯誤しながらコントロールしている。ドライバーの飛距離は230ヤードほど飛ばすが、「当たらないと200ヤードいかないときもある」。だが、そう語る表情は嬉しそうだ。
スコア的にはいいときは70台で回るが、傾斜地が多いところでは90近く打つこともある。今大会は距離も長く、緊張感のある試合ということもあり目標は「85切り」と設定。最後2メートルほどのパーパットが外れて「85」でホールアウト。それでも随所に好プレーを見せて、中川かけられる「ナイス!」といった言葉は懐かしくもあり、喜びを感じた。
高校卒業後、それぞれの道に進み会う機会は極端に減った。中川がプロテストに合格したお祝いのコンペで再会したが、同組では回っていない。
「一緒に回ったのは高校卒業以来、32年ぶりとかですよ。ちょっと無理言って一緒に回らせてもらいました。懐かしい楽しい1日でした」と中川がいうと、友宗さんは「去年までこの大会をYouTubeで見て勝っちゃん(中川勝弥)を応援していました。まさか自分がそこに出て、一緒に回れるとは…」と胸を熱くした。
友宗さんは「ゴルフと関わりたい」と現在はつるやゴルフでインストラクターの仕事をしている。その傍ら、障害者ゴルフの競技にも積極的に出場している。USGAとR&Aが設定した世界障害者ランキング(WR4GD)は229位で、日本パラゴルフランキングは9位につけている。「将来的にはパラリンピックの種目になると思っていますので、世界で100位以内に入って、その舞台に立ちたいです。スポンサーさんも集めたいです(笑)」と大きな目標がある。
今年シニア入りした中川も刺激を受けて「僕もシニアで優勝を目指しますし、障害者ゴルフを盛り上げられるようなサポートもしていきたい」とお互いの活躍を誓い合った。ホールアウト後は配信するカメラに向かって、2人揃って感謝を表すように大きく手を振ったのはとても印象的だった。
違う道を歩んでゴルフを続ける同級生が同じ舞台で”共演”できるのは、老若男女問わず楽しめるゴルフという競技ならではであり、「MAIN STAGE JOYX OPEN」のコンセプトを物語る1日だった。(文・小高拓)
【JOYX OPENとは】
歴代賞金王の伊澤利光や小田孔明らをマネジメントする「株式会社JOYX」が主催する大会。自称“日本一の草トーナメント”は、男子のトッププロだけでなく、予選会を勝ち抜いたアマチュアやジュニアが参加するプロアマ形式で争われる。プロ83人、アマチュア61人の144人が同じ距離、コースセッティングで腕前を競う。また、「ブルークローバーキャンペーン」として前立腺がんの早期発見・治療の大切さの啓蒙活動も行っている。
