山下美夢有の勝利で幕を閉じた「マイヤーLPGAクラシック」。同週には米国男子ツアーのメジャー「全米オープン」が行われていたが、ミシガン州のブライスフィールドCCにだって負けないくらいのギャラリーが詰めかけていた。
山下も「最終ホールとかも歓声が本当にすごかったですし、この試合はほんとギャラリーたくさんいるなと思いました」と、その熱気に驚いた様子だった。
観客総数は公表されていないものの、近年は開催期間中に6万人以上を動員したと報じられ、地元紙デトロイト・ニュースも、メジャーを除くLPGAツアーの中でも「最大級のギャラリーを集める大会」と紹介するなど、ツアー屈指の人気大会として知られている。
そもそもタイトルスポンサーを務めるマイヤーとは何なのか。ミシガン州で創業された、食料品から生活用品まで幅広く扱う大手スーパーマーケットチェーンだ。地域とのつながりを大切にしており、チャリティー活動「Simply Give」と連動した大会運営も、この大会の大きな特徴となっている。
では、なぜこれほど多くのギャラリーが集まるのか。
まず挙げられるのが、価格設定だ。一般入場券は1日10ドル。4日間の通し券でも25ドルと、家族連れでも気軽に足を運びやすい。
さらに最終日は父の日にあたり、父親は入場無料。また、現役・退役・予備役を含む軍関係者とその同伴者1人も、大会4日間を通じて無料で入場できるなど、ギャラリーに優しい施策が充実している。
ホスピタリティも見逃せない。スーパーマーケットらしく、同社のシェフや地元レストランによる食べ飲み放題を楽しめる巨大テントも設置されていた。
大人90ドル、5歳以下の子どもは10ドルで利用できるこのエリアは、ライブビューイングを楽しみながら食事や会話を満喫できる社交場としても機能している。ゴルフ観戦以外の楽しみも味わえることを考えれば、その価格も決して高くはない。
ギャラリーの多さに驚かされる一方で、「ナイスショット!」「ナイスバーディ!」と日本語の声援も飛び交った。実は、日本人ギャラリーの姿も目立っていた。
会場のブライスフィールドCCから車で約2時間のデトロイト周辺には、日本の自動車メーカーや部品メーカーの北米拠点が数多く集まっている。そのため駐在員やその家族を中心に大きな日本人コミュニティーが形成されており、ミシガン開催の今大会にも多くの“日本人ファン”が駆けつけていたようだ。
優勝した山下も「聞こえてましたね」と、日本人ギャラリーからの声援をしっかり受け取っていた。
日本勢の今季初優勝に注目が集まった一方で、メジャーではない通常大会にもかかわらず、これだけ多くの人々を引きつけるのもマイヤーLPGAクラシックの魅力だ。地域に根差した大会づくりと、それを楽しみに集まった大勢のギャラリー。その熱気もまた、4日間を特別なものにしていた。(文・齊藤啓介)

