<マイヤーLPGAクラシック 最終日◇21日◇ブライスフィールドCC(ミシガン州)◇6611ヤード・パー72>
大会初日は納得のいくプレーができず、険しい表情が続いていた山下美夢有。それでも「やっと調子上がってきた」と振り返ったこの勝利は、悶々とする日々に潤いをもたらすものとなった。
昨年はルーキーイヤーながらメジャー「AIG女子オープン」(全英)と「メイバンク選手権」で勝利を挙げた。それだけに、ここまで未勝利だった今季の成績に納得できるはずもない。
今大会のプロアマでは、「パッティングもあまり入っていないですし、ショットも狙いたい方向に打てていない」と、不安材料を抱えていることも明かしていた。
初日こそイーブンパーだったが、日を追うごとにスコアを伸ばした。首位と5打差で迎えた最終日は9バーディ・1ボギーの「64」をマーク。この日のベストスコアタイに並ぶ猛チャージを見せた。
前半は面白いようにセカンドショットがピンに絡んだ。前半で奪った5つのバーディの多くはおよそ1ピンにつけたもので、特に5番パー3では約60センチにつける絶妙なショットも披露した。
ショットだけではない。後半10番パー5では12メートルのロングパットも沈めた。プロアマ後に口にしていた言葉が嘘だったかのような、そんなプレーぶりだった。
15番パー3では3パットを喫し、この日唯一のボギー。それでも「悔しい思いはありましたが、残り3ホールで取るしかないと思っていた」と気持ちを切り替え、最終18番パー5のバーディで優勝への望みをつないだ。
クラブハウスリーダーとしてアテストを終え、後続のロティ・ウォード(イングランド)の結果を待った。ただ、ロティは17番パー4でバンカーからチップインバーディを奪い、単独首位に浮上。さらに18番は2オンも狙える状況だっただけに、このままロティの勝利かと思われた。
そんな空気が漂う中でも、山下は笑顔で談笑したり、ギャラリーのサインに応じたりと、表情はどこか清々しかった。実際、「全体を通していいイメージがあった。きょうのラウンドは本当に、久しぶりに良かったなと思いました」と充実感を口にした。だからこそ、たとえ2位という結果でも受け入れられるような余裕すら感じさせた。
結局、ロティは18番でボギーを喫し、勝負はプレーオフへ。最後は山下が勝利を手にした。
昨年の2勝はウェールズ、マレーシアで挙げたもの。「ショットも含めて、いいイメージで回れていたし、アメリカのコースで優勝できてうれしかった」と、米本土初優勝に喜びもひとしおだった。
次週はメジャー「KPMG全米女子プロ」(ミネソタ州/ヘイゼルティン・ナショナルGC)が控える。優勝の余韻に浸る間もなく、この後はすぐに移動。「あすから切り替えて。しっかりコースチェックして、いいラウンドができるようにしたい」。山下らしくすでに視線は次の戦いへ向いていた。(文・齊藤啓介)

