＜宮里藍 サントリーレディス ３日目◇14日◇六甲国際ゴルフ倶楽部（兵庫県）◇6558ヤード・パー72＞
バイザーにトレードマークのリボンにグローブ、さらにモックネックのウェアにミニスカート、そしてハイソックスにシューズと上から下まで白コーデでプレーした河本結が、スコアを3つ伸ばした。トータル12アンダーで4位から2位に順位を上げたムービングデー。用具契約を結ぶキャロウェイゴルフのモックネックシャツのフロントには映画「スターウォーズ」シリーズのキャラクター、ダース・ベイダーがド派手に大きくプリントされていた。
「力は悔しい思いをしたと思うので、私もそれを背負ってプレーしようと思ったんです」
1学年下で国内男子ツアー通算2勝の弟・力は今週、海外メジャー「全米オープン」に出場したものの、トータル12オーバーで予選落ちとなった。PGAのインスタグラムには大会中の力の写真がアップされているが、同じキャロウェイのウェアにはスターウォーズの別キャラがプリントされていた。仲良しのきょうだい。かわいい弟の無念さを代わりに晴らし、昨年8月の「NEC軽井沢72」以来となる優勝を狙う姉の決意表明が、この日のウェア選びのポイントだった。
早朝からの雨で競技は2度中断し、午前9時予定だったティオフは1時間以上遅れたが、雨脚も弱まり、レインウェアを着る必要もない好条件でのスタート。「きょうはめちゃ雨だと思っていたので、ラッキーだなぁと思った」。だが、途中から再び雨が降り始め、ハーフターンすると強烈な風が吹き始めた。
それでも、前半は2バーディ、後半のインも3バーディ・2ボギーと1つ伸ばして、優勝に向けて一歩前進した。17番は残り120ヤードの2打目を8番アイアンでピンそば3メートルにつけ、最終18番はピン手前11メートルを気合でねじ込んだ。価値ある2連続バーディ締めで首位とは2打差。力強く右手の拳を握り締めた26歳はホールアウト後の言葉にも力がこもっていた。
「午後から雨が降ってきて、13番ぐらいから風もすごかったけど、前半は何事もなくできたことがラッキーすぎたので、後半はどんな条件になろうと動じなかった。ここまでいいゴルフができたことが奇跡だと思いながらやっていました」
同じ黄金世代で単独首位に立つ高橋彩華を追いかける最終日。「彩華ちゃんがいいゴルフをしていたので、上がりの2ホールが大事だと思っていた。いい流れで最終日に入れる。しっかり伸ばしていきたい」。大会終了後には海外メジャー「KPMG全米女子プロ選手権」に出場するため、弟と入れ替わるように渡米する。置き土産は今季V。"フォース"を操り、「AIG女子オープン」（全英）の切符も手に入れる。（文・臼杵孝志）
