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最終日のフェアウェイキープはたったの3回 それでも金谷拓実がドライバーを振り続けた理由

金谷拓実が念願のメジャー初優勝。ティショットではドライバーを打つことにこだわり、ツアーNo.1の称号を手にした。

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2023年6月5日 10時36分

念願のメジャーVを果たした金谷拓実。低弾道ドライバーショットで宍戸を攻略した。
念願のメジャーVを果たした金谷拓実。低弾道ドライバーショットで宍戸を攻略した。 (撮影:鈴木祥)
曲げたくないホールでは、ドライバーで低い球を打つ

曲げたくないホールでは、ドライバーで低い球を打つ (撮影:ALBA)

<BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 最終日◇4日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース(茨城県)◇7430ヤード・パー71>
 
「今週のテーマは積極的にプレーすることだった」。最終日にフェアウェイキープできたのは、たったの3回だけ。それでも金谷拓実はドライバーを振り続けた。

今季男子メジャー初戦は金谷が制した。2021年の「東建ホームメイトカップ」以来、実に2年ぶりの勝利。初メジャータイトルとともに、ドイツ開催のDPワールドツアー(欧州ツアー)「BMWインターナショナルオープン」(6月22~25日)と、日本開催の米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(10月19~22日)の出場権を得た。
 
今大会の舞台、宍戸ヒルズCCはティショットの落とし所が狭く、フェアウェイキープが難しい。スコアを伸ばすためにも、また落とさないためにも、フェアウェイキープが鉄則となる。もともと金谷はティショットが得意な選手で、ルーキーだった2020-21年シーズンは『ドライビングディスタンス』と『フェアウェイキープ率』の順位を合算した『トータルドライビング』で2位。今年はここまで1位に立っている。
 
しかし昨年は海外のツアーに腰を据えて戦い、ことごとく予選落ちに終わったことで、得意だったはずのティショットに狂いが生じていく。「結果が伴わないので、右のバンカーに行ったらどうしようとか、左の池に行ったらどうしようとか、曲がることが怖くて自信を持ってティショットを打つことができなかった。賞金をもらえないと不安になることも多かったし、プロになって少し怖い部分も感じていた」。
 
転機となったのは今年2月のアジアンツアー「インターナショナルシリーズ・オマーン」での優勝だった。ホアキン・ニーマン(チリ)やセルヒオ・ガルシア(スペイン)も出場したフィールドで結果を残したことで、「自信を持って打つこと」ができるようになっていく。
 
以前は3番ウッドで刻んでいたような狭いホールも、ドライバーの低いドローでフェアウェイを狙う。最終日こそ、この低いボールを左に引っかけて15番パー5では隣の17番に打ち込むなど、ピンチを招く場面もあったが、「今週はフェアウェイに打つことも大事だったし、ドライバーで打てるホールはピンまで近いほうが有利」と、金谷は一貫してドライバーを振り続けた。
 
「2月のアジアンツアーでは優勝できたんですけど、4月のアジアンツアーでは3打差リードから最終日にスコアを伸ばせなくて優勝を逃したり、先週のミズノオープンでも優勝を1打逃してしまって、最終日にあまり良いプレーができないことも多かった。だから今週は積極的なプレーをずっと続けようと思っていました」
 
最終日はティショットが乱れて、なかなかバーディチャンスにつけられなかったが、9番では3メートル、10番では2.5メートルのパーパットをしぶとく沈めてコブシを握りしめ、リードを保ち続ける。しかし、15番パー5で2つめのボギーを打って、同組の中島啓太とソン ヨンハン(韓国)に、トータル10アンダーで並ばれてしまった。それでも続く16番パー3では金谷がパー、2人が難しいラインにつけてボギーを叩いたことで、再び1打のリードを得た。
 
ここで迎えたのは宍戸ヒルズCCの最難関ホール。17番パー4は481ヤードと距離が長く、2打目は池越えとなる。最終日のピン位置は右手前で、少しでもショートすれば池に入り、かといってピンの上につけると難しい下りのパットが残る。
 
金谷のドライバーでのティショットは左のラフへ。残り195ヤードが残った。「左ラフに行ってしまったので、キャディさんはレイアップも考えたんじゃないかと思う。1打リードしていたんですけど、それを守り抜こうと思ったら、最後まで行けなかった。今週のテーマは積極的にプレーすることだったし、とにかく自分らしいプレーを心がけました」。
 
しかもライは強烈なツマ先下がりで、少しでも打ち損じればボールは池に消える。勝負のセカンドショット。金谷は6番アイアンをしっかり振り抜くと「GO!」と叫んで、気持ちをボールに乗せた。池とグリーンのわずかしかないスペースに落ちたボールは、右に曲がりながら転がり、ピンの50センチにピタリ。金谷はコブシを握り、ギャラリーからは大歓声があがった。
 
「まさかあそこは狙ってないんですけど(笑)、多少奥にいってもしょうがないなという気持ちで打ちました。池は入ってほしくなかったので不安でしたけど、いい位置に落ちてくれて良かったです」。曲がってもドライバーを握り続けた積極的な姿勢と勝利への気迫が、最難関ホールでバーディを呼び込んだ。実質これがウイニングショットとなった。
 
昨年大会では海外で何度も跳ね返されて迎えた国内初戦で、「結果は気にせずに自分らしいスイングを」と臨んだ金谷。それが今年は「去年の自信を失っていたときよりも、今年は難しい状況でもたくさんドライバーを握って、狭いエリアも振り抜いていけた。それが1年経って成長した部分かなと思います」と、ツアーNo.1にふさわしいメンタルで勝ちきった。(文・下村耕平)

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