<日本オープン 事前情報◇13日◇タラオカントリークラブ 西コース(滋賀県)◇7411ヤード・パー70>
クラブはすべて組み直し。悩める歴代チャンピオン、稲森佑貴が“突貫工事”で日本オープンに乗り込んだ。
稲森といえば、日本オープンのイメージは強い。横浜カントリークラブで行われた2018年大会、紫カントリークラブ(すみれ)で行われた2020年大会を制している。ラフが長く、フェアウェイキープが肝になる難セッティングのなか、9期連続で「日本一曲がらない男」の称号を手にしてきた正確性を武器にビッグタイトルをつかんできた。
今年は国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で石坂友宏とのプレーオフに敗れたものの、2位に入って好スタートを切った。しかし、その後は「ANAオープンゴルフトーナメント」の10位タイが最高位と、思うような成績を残せていない。
そこで、先週のオープンウィークにクラブをすべて組み直したという。実家に工房があり、父親の兼隆さんの手によって、既存のヘッドとシャフトをいったん抜き、バランスなどを見直して再び組み上げた。特に悩んでいたのが「アイアンがダブり気味」という点。そこでバランスを測ると“D4”だったという。
後ろの数字やアルファベットが大きくなるほどヘッドが重く感じられる指標だが、この数値は稲森にとっては“重め”だった。ダウンスイングでクラブが先に下りてくる感覚があったため、バランスをワンポイント落とした。
さらに、ドライバーのシャフトも変更。飛距離アップを目的に、フジクラの『スピーダーNX』シリーズのフレックス“6SR”を使用していたが、ここに来て同社の初代『ベンタス ブルー』の“6X”に戻した。
「ダフリ気味な理由もSRに慣れ過ぎたからかもしれないです。緩みが出てきて、その感覚でアイアンも打ってしまうから」
スイングを引き締めるためにも、SRからXへと硬さを上げる選択をした。
また、シャフトが新品ではないというのも面白い。もともと『ベンタス ブルー』を持っていた稲森は、長年使い込んだこのシャフトを「熟成された」と表現する。絶妙なたわみが生まれるそうで、メーカーから同スペックの新品を送ってもらった際に打ち比べると、後輩からも「音が全然違う」と言われたという。
新品は長さが若干異なることもあり、最終的には使い慣れたシャフトを選んだ。長年打ち込んできたからこそ分かる、プロならではの感覚だ。
クラブをすべて見直して臨むメジャー。突貫工事の成果を日本オープン3勝目へとつなげたい。(文・齊藤啓介)
