なぜ、ここまでの状態に戻すことができたのか。宍戸ヒルズカントリークラブの総支配人・草野通朗(みちろう)氏はこう語る。
「天気予報が当たりますので、何時から何時まで雨が降り、どんな風が吹くのか、いつ頃から雨が弱まり、いつ作業に入れるのか――そうした点をすべて見極めながら、綿密に計画を立てました。うちは36ホールで社員数も多く、静ヒルズとも連携しています。いわば54ホールが一つのゴルフ場のように機能しています。宍戸だけでも約30名のコース管理スタッフがいますが、静ヒルズからの応援、クラブハウスのスタッフも含めると約90名体制で、朝6時のスタートに間に合わせようと準備しました」
同じ森ビルグループの静ヒルズカントリークラブ(茨城県)からも応援が入り、作業は雨の止まない午後1時30分に開始。午後7時30分の日没後も続き、真っ暗になるまで行われたという。「最終的にすべてを確認し、翌朝ももう一度点検しました」と振り返る。
作業は徹底していた。ティーイングエリア、フェアウェイ、ラフ、グリーンの排水対応に加え、バンカーの排水と砂の復旧、さらにコース上の枝や落ち葉の回収まで行う。ただ端に寄せるのではなく、すべてを集めて軽トラックや2トンダンプに積み込み、10台以上で搬出した。それは単なる応急処置ではない。枝一本まで回収し、観客動線の安全確保まで徹底する。その範囲はコースにとどまらず、練習場やクラブハウス周辺にも及ぶ。
翌朝は午前4時から再び作業を開始。トーナメントディレクターとも連携しながら細かな情報共有を行い、「結果、なんとか6時に間に合う状態にできました」と安どした。
これだけの大規模コースであることも強みだ。「道具も普通のゴルフ場以上にブロワーなどの台数も相当持っていますし、人もいます。そういう点で普通の18ホールのゴルフ場よりは、人も機械も多いというのが強みとなっております」。その総合力が作業スピードの速さにつながり、厳しい状況の中でもコースコンディションを整え、試合に間に合わせることができた。
コースの完成度の高さは際立つが、草野氏は「何といってもツアー選手権というメジャートーナメントを継続して開催させていただいている。やはりJGTOさんからのご指導が非常に大きいです」と日本ゴルフツアー機構(JGTO)とのこれまでの連携も要因の一つだという。
初日は午後6時34分に全選手がホールアウト。日没予定は午後6時53分。30分でもスタートが遅れていれば、日没サスペンデッドは避けられなかっただろう。こうした対応力の根底にあるのは、日々の積み重ねだ。
