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「池に入れたら逆転負け…」重圧かかる終盤戦 初V遂げた23歳の心模様

23歳の下家秀琉が息づまる接戦を制し、ツアー初優勝を果たした。

所属 ALBA Net編集部
小高 拓 / Hiromu Odaka

配信日時:2025年10月5日 18時29分

23歳・下家秀琉がプレッシャーに打ち勝って初優勝を挙げた
23歳・下家秀琉がプレッシャーに打ち勝って初優勝を挙げた (撮影:ALBA)

<バンテリン東海クラシック 最終日◇5日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71>

「自分が優勝なんて夢のようです」。表彰式でそう語ったプロ3年目の23歳・下家秀琉(しもけ・すぐる)。首位タイから出た最終日、1イーグル・7バーディ・2ボギーの「64」で回り、追いすがる安森一貴を1打差で振り切って、うれしい初優勝を遂げた。今季国内ツアーの初優勝者は9人目。シャイで感情をあまり表に出さない下家だが、17番、18番の攻防では激しく心が揺れ動いていた。

【写真】一応やってみたガッツポーズ

見応えたっぷりの伸ばし合いだった。下家は前半で4番からの3連続を含む5つのバーディ(1ボギー)を奪って優勝争いをけん引。後半に入っても12番、13番でバーディ。15番パー5は2打目でグリーン横まで運ぶと、59度のウェッジでチップインイーグルを奪った。2位の安森との差は3打にまで広がった。

しかし、難関・三好CCでセーフティリードは存在しない。16番は互いにパーとしたが、17番パー4では右ラフから打った下家の2打目はショートして花道へ。そのあとに打った安森は132ヤードをPWで20センチにつけるスーパーショットでバーディを奪う。

「自分が(17番)ボギーでも最後バーディを取ったらいいやと思っていたら、アプローチが寄らずに実際にボギーになって、ちょっと焦っちゃいました」。安森のショットの影響か、花道からのアプローチを3メートルほどショート。ここで1打差になった。

運命の18番パー4。安森は「ずっと2打か3打差だったのですが、(1打差になった)18番ティで優勝を意識しました」と、ティショットで手を離しながらもフェアウェイをキープ。下家はファーストカットのすぐ右のラフに止まった。

18番のグリーンは右サイドに池があり、最終日のピン位置は右から4ヤード。下家のボールは幸いにも少し浮いたライだった。

「これで池に入れたら逆転負けもある…」

悪いイメージも頭にチラつく。しかし、下家は逃げない。「安森さんに並ばれるかもしれないので、絶対に左は嫌」。ピンまで残り160ヤード。「9番アイアンで打つ距離ですけど、わざと大きい番手の8番アイアンで軽くラインを出しました」。“ピンからドロー”のイメージでピン奥5メートルに乗せた。

それを見た安森は「バーディじゃないとプレーオフにいけない」と下家の内側を狙ったが、池を避けようと体が反応して「左に出てそのまま真っすぐ」とピン左10メートルほどにオン。バーディパットはラインに乗っていたが、わずかにショートして2パットのパーに終わった。

それを見届けた下家はバーディパットを30センチに寄せると、「手が震えていました」とマークもせずに、そそくさとウィニングパットを沈めた。15番のチップインイーグルでは、無意識にガッツポーズが出たが、18番は「一応、やっておかないと」と両手を高く上げるガッツポーズで喜びを表した。

昨年下部ACNツアーの「PGMチャレンジ」で同ツアータイ記録となる「59」をマークしてプロ初優勝を遂げた。「気持ちは強気でやっている」とアグレッシブなプレーが持ち味。そんな気持ちが手繰り寄せた初優勝だった。(文・小高拓)

バンテリン東海クラシック 魔の16番パー3を配信!

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