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なぜ蝉川泰果は狭いホールでも自信を持ってドライバーを振れるのか?【メンタルコーチに聞く】

なぜ蝉川泰果は狭いホールでも自信を持ってドライバーを振れるのか?【メンタルコーチに聞く】

配信日時:2022年11月13日 02時00分

すると何が起こるのか? 「受動的注意集中と呼ばれる態度なんですけど、例えば、ゴルフで構えたときに成績のことが頭の中にちらついたり、ピンそばにつけたいなって思うけど、なかなか思い通りにはいかないですよね。自分から働きかけて、結果を求めようとするのではなく、自分のいまやるべきことに集中するトレーニングでもあるんです」。これらのナショナルチームの指導を基に、蝉川は自分の成功するポジティブなイメージだけを思い描くようにしているから、狭いホールでもOBの恐怖心が芽生えることなく、自信を持ってドライバーを振り切れるのではないだろうか。

この自律訓練法だけではなく、JGAナショナルチームでは、心理的なスキルの講習会を実施。加えて選手個別に『面談』も行っている。「何をしようかという感じよりも、最近どうなの?っていう近況報告をしたり、やっていることはカウンセリングに近いと思います」と菅生氏。蝉川も「自分が助けてほしいときに菅生さんに連絡して、リモートで1時間くらいセッションしたりしています」と日本オープン初日の会見で語っている。

実は菅生氏は、日本大学ゴルフ部の出身の学生ゴルファー。「へぼなんですけど、(片山)晋呉さんの1個下です。いまでも会場で会うと挨拶していますね(笑)。日大の先輩なので、やっぱり30年経っていても背筋が伸びます」と笑う。

日大を卒業してからスポーツ心理学の道に進み、国立科学スポーツセンターの研究員として、陸上競技や自転車競技、柔道といった格闘技から、メンタルが重要な射撃の選手にも携わった。11年に日本ゴルフ協会(JGA)がスポーツ心理学の専門家を探していることを知った知り合いが、菅生氏を紹介していまにいたる。

メンタルトレーナーとしては「選手のモチベーションを高めるのが一番難しい」というが、「最近ナショナルチームに入ってくる選手は、みんなジョーンズさんのことを知っていて、『ナショナルチームに入りたい』と思って入ってきているから、最初からモチベーションが高いんです。こちらとしては関わりやすいです」と話す。最初から上手いから強いのではない。最初から気持ちが高いから、プロのトーナメントで活躍できるメンタルへ強化されているのだ。(文・下村耕平)

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