2022年に史上初となるアマチュア2勝を挙げ、国内男子ツアー通算5勝を誇る蟬川泰果。“年間王者”を目指す今季は、国内男子ツアーを代表する存在の一人になることは間違いない。そんな蟬川にワンランク上のレベルを目指すアマチュアが参考になるテクニックを取材。今回は『ドライバーとアイアンのスイングイメージの違い』について聞いた。(取材・文/髙木彩音)
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ゴルフクラブは1本ごとに長さが異なる。とはいえ、その長さに合わせてスイングそのものを変えるのは簡単ではない。『ドライバーはいいのにアイアンが当たらない』、『アイアンは好調なのにドライバーが不安定になる』といった悩みが生まれる。スイングを変えるべきなのか――。そう迷うアマチュアは少なくないだろう。とりわけ、ティアップするドライバーと、地面から打つアイアン。この2本はイメージまで変えるべきなのか、蝉川の考えを直撃した。
■クラブが長くてティアップしているドライバーと短くて地面から打つアイアンは、スイングのイメージは同じなのか、変えたほうがいいのか。蟬川プロはクラブによってスイングは変えている?
「プロデビューした当初は、ドライバーはすごくアッパーで振っていました。今は(アイアンと)同じぐらいのレベルに近い感じです」
■なぜ変わったのか?
「海外の選手を見ると、上から(ダウンブローで)叩いて飛ばしています。(アッパーで振る)自分がロースピンになりすぎていて、ちょっと嫌になってきてレベルに振ろうと。アッパー(プラス)5だったのを昨年はアッパー(プラス)1か、フラットに当たるぐらいになりました。でもやっぱり、根本はアッパーに当てたいから、(アイアンとは)少し変わるかなとは思います」
■ドライバーとアイアンの入射角は?
「ドライバーはプラス4~5ぐらい。アイアンはマイナス5ぐらい。9番アイアンだったらもう少しあります。でも、アイアンももともとアッパーに近かったんです。けっこう横から“払い打ち”だったので、それを上から叩くようにしてきて、ちょっと難しくなったなっていう時期はありました」
■それはプロ転向後、2024年は米国男子ツアーに3試合のほか、DPワールド(欧州)ツアーや海外メジャー「全英オープン」にも出場したが、その経験から?
「海外のコースは芝がペタペタじゃないですか。しかも(地面が)ゆるいところが多く、ダフると終わりなんですよ。硬いところだったら助かるんですけど。ペタペタの芝でダフったら終わり。日本の芝は(少しボールが浮いているから)“払い打ち”でも許されることが多いんですけどね。その辺でギャップが生まれて、(ヘッドを)上から入れ出してから、(スイングが)おかしくなったなっていうのはあるんですけど、その辺が難しいです」
■海外ツアーを経験後、スイング修正などを行ったとき、苦しい時期はあった?
「同じように振っていいのか、同じように振らない方がいいのか。同じように振るんだったら、ドライバーはリリースがけっこう早いので、アイアンだと左に行くミスが出ていた。(あの頃は)どうやって打っていたかなって…感じですね」
■今はドライバーとアイアンでスイングを変えている意識はある?
「今は勝手に、練習でその分別ができているっていう感じですね。同じようには振っているつもりだけど、別になっている。それがいつかは統一してきてほしいんですよね。安定感を高めるために、(スイングを)合わせたいです」
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再現性を高めるためにも、スイングの“基本構造”は統一したほうがいいもの。ドライバー用、アイアン用のスイングをつくってしまうと、それぞれのクラブで別の動きが体に入り、スイングにおいて大事なリズムやテンポにばらつきが生じ、さらにミスしたときの原因がわからなくなりやすい。動きが一つなら、修正もシンプルになる。世界で戦うトップ選手でも、クラブが変わっても動きの土台は同じ。変わるのはアドレスやボールの位置ぐらいだ。切り返しのタイミング、体の回転の順序を安定させるためにも、スイングイメージは変えないほうがいいとうことだ。
■蟬川泰果
せみかわ・たいが/2001年1月11日生まれ、兵庫県出身。2022年に史上初のアマ2勝を遂げる。同年にプロ転向後の4年間で安定した成績を残している。平均ストロークは常にトップ10をキープ。フル参戦1年目の2023年は『69.885』(3位)、24年は『70.693』(9位)、そして25年は『70.047』(1位)と、国内男子界でも屈指のスタッツを誇る。勝負強さに加え、数字が示す通り高度な技術力を備えた選手だ。
