タイガー・ウッズが主宰する「ヒーローワールドチャレンジ」。ツアー外競技ではあるものの、招待された20人のみが出場できるエリートフィールドで、松山英樹が2016年以来の大会2勝目を飾った。そんな松山の最新スイングを、プロコーチ南秀樹に解説してもらった。
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深く捻転し、トップでは十分な間を作って、頭を残したまま降り抜いていく。松山プロのスイングの特徴とも言える動きに進化を感じます。
どっしりと構えたアドレスから上半身を回しクラブを上げていきますが、頭は微動だにせず、体重移動を抑えながらも深く体が回っています。これは股関節の可動域が広いからできること。以前に比べて、柔軟性が増し、筋力も強化されているように見えますね。トップまで左ヒザが正面を向いているのも、柔軟性と下半身の強さを感じさせるポイント。スイング中に軸ブレが起きにくいのはもちろん、ダウンスイング以降の体の回転をスムーズにさせます。
トップで間を作ると、普通ならスピードを上げて速く打ちたくなるもの。多くのアマチュアは腰を回そうとして重心が高くなり、力が逃げてしまっています。一方、松山プロはバックスイングでの体重移動が抑えられた分、ダウンスイングでは下方向への圧が増しています。地面に押し込むように回っているからこそ、ボールに力を伝えられているんです。
インパクトからフォローにかけて、頭を残して振っていきますが、わずかにルックアップが早くなっていると思います。頭を残す動きはボールがつかまる要素ではありますが、残し過ぎは左にミスするリスクが高まる。ルックアップのタイミングを早めることで、つかまり過ぎを抑えラインが出しやすかったり、体への負担が軽くなったりするメリットがあるのでしょう。飛距離よりは方向性を重視した動きですが、その分、トレーニングを行い、体の動きが良くなったことでカバーできているのだと思いますね。
■松山英樹
まつやま・ひでき/1992年生まれ、愛媛県出身。2011年に史上3人目のアマチュア優勝を果たし、13年にプロ転向。ルーキーイヤーに賞金王に輝くだけでなく、米国男子ツアーのシード権も獲得。21年に日本人として初めて「マスターズ」を制した。24年のパリ五輪では銅メダルを獲得している。LEXUS所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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