パターを難しくする最大の要因は、ストローク中に起こる「フェース開閉」だ。最近では「ゼロトルク」を始め、「フェース開閉」しにくいパターが増えているが、最もやさしく真っすぐ打てるモデルは何か検証した。
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ストローク中の「フェース開閉」を数値化できる『CAPTO』でパターの性能を科学的に検証。『CAPTO』を付け、アドレスの仕方やストロークを統一した上で5球打ち、フェース開閉の平均値を算出。もっともフェースをスクエアに保ちやすいモデルはどれなのかを徹底検証してみた。
「『CAPTO』を使ってモデルごとの傾向を解析すると、ストローク全体で開閉を抑えて、高確率で真っすぐ打ち出せるのは『ゼロトルク』でした。手先の余分な動きを矯正する効果が大きく、使うだけでヘッドの軌道がストレートに近くなります。ただし、矯正する作用が強い分、振り感が独特なものになりますので、気持ち良く打つという意味ではロングネックのトゥヒールバランス型やフェースバランス型のパターもおすすめです。切り返し以降の挙動が安定して、ボールを真っすぐ打ちやすいです」(最新機器を駆使するパッティングコーチ五十嵐広海)
最新パターは重心角やヘッドサイズ、重さを調整して、フェース開閉を抑える工夫をしている。
「パターを水平な場所に置いたときのフェース向きで『重心角』が分かります。フェースが左ヨコを向くモデルは開閉が多く、逆に上を向くモデルはフェースが開かず、開閉が少ないですね。また、フェースから後方までの『奥行き』が長いパターは重心が深くなり、フェース開閉が少なくなります。また、構えたときの安心感など、視覚的な影響もあります」(ギアコーチ・筒康博氏)
パターの重さは、そのままクラブ全体の慣性モーメントを示す指標になる。重いほど直進性が高く、ストロークの挙動が安定するので、フェース開閉も少なくなるという。振り心地に個性があるので、自分が気持ち良くストロークできるモデルを選ぶことが大切だ。
【試打したリスト】
L.A.B. Golf:OZ.1i HS 【ゼロトルク】
テーラーメイド:スパイダーZT 【ゼロトルク】
オデッセイ:Ai-ONE スクエア2スクエア マックスストライプ 【ゼロトルク】
PXG:バットアタック ゼロトルク 【ゼロトルク】
ピン:スコッツデール CRAZ-E 【フェースバランス】
オデッセイ:Ai-ONE ジラフビームジェイルバードミニ 【フェースバランス】
キャスコ:9/9 デルタフェース タートル 【フェースバランス】
テーラーメイド:スパイダー ツアーX クランクネック 【トゥヒールバランス】
■解説 五十嵐広海
いがらし・ひろみ/ツアープロからアマチュアまで科学的なアプローチでパッティングを指導する新進気鋭のコーチ。最先端機器を駆使したストローク解析を得意とする
■解説 筒康博
つつ・やすひろ/過去の名器から最新クラブまで豊富過ぎる知識を持つ通称“ギアコーチ”。インドアゴルフレンジKz亀戸店でヘッドコーチとして、日々アマチュアの悩みに応えている
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