筆者　「筒さん、申ジエのスタッツで一番すごいと思っているのはどこなんです？」

P筒　「当たり前の答えなんですが、ツアーに出ているプロゴルファーで、一番スコアに影響するのは平均パット数なんですよ。例えば、1位の申ジエ選手は【1.754】です。これは、1日18ホールで【31.572】になり、3日間の54ホールで【94.716】になりますね。この数字と平均パット数50位のサイペイイン選手の【1.842】と比較してみましょう。1日18ホールで【33.156】とパットだけで1日1.5ストロークの差が生まれ、3日間で【99.468】ですから、平均パット数が50位の選手であっても申ジエ選手と1試合あたり5打近い差が生まれるんです。5打違えば順位はどうなりますか？長岡さん、そういうことですよ」

P編　「申ジエ選手は今季もいろいろパターを替えているんだろう？凄いね、それは」

筆者　「まぁ、それは連戦するプロゴルファーの話であって、アマチュアは3日間連チャンでゴルフすること自体が皆無ですからまったくピンと来ませんけど。ボクは最高でも学生時代のキャディバイト時代の4連チャンがMAXですもん。社会人になってからは2連チャンがMAXですよ」

P筒　「……。（なんて鈍感でバカなんだ！）じゃあ、こう言えばエンジョイゴルファーの長岡さんでも分かりますかね？先日数年ぶりのマグレ70台の日は何が良かったんですか？」

筆者　「そりゃ、パットがいいからに決まってますよね。出だしから3連続バーディで前半ハーフは14パット、後半も16パットの30パットに収まりましたからね。普段は36、7くらいですよ、どうしても3パットも出るので」

P筒　「それだけじゃないでしょ？パットが入る日は、アプローチもアイアンも全部良くなったはずですよ。パットが決まる安心感で、アプローチでも寄らなくてもいい、アイアンも乗せなくてもいいと、すべての場面に余裕が生まれるんです。これは、プロもアマも同じなはずです」

筆者　「そう言われれば、そうですね」

P編　「長岡はこれまでにドライバーを30本以上は軽く購入してきたんだよね？ちなみにパターは何本買ってきたの？」

筆者　「いやぁ、多く見積もっても20本くらいかなぁ。覚えてないけど、多分15、6本かも」

P筒　「たった20本ですか！？それは少ないですよ。ボクはトータル50本くらいは軽くいってますよ」

P編　「私も確実に筒さんを越えてるよ…。下手すると三桁は余裕でいってるかも…。ほとんど売っちゃったけど、残っているものだけでも軽く30本はあるなぁ…」

筆者　「あのね、生きてきた年数がボクとお二人では違うでしょうが！ゴルフ歴も！！しかも、何十本多く買ったほうが偉いんですか？ただの金持ち自慢にしか聞こえませんよ。しかも、腕は1本しかないんですから。まったく、嫌味なこと言うなぁ…」

P編　「腕は2本だよね」

P筒　「金持ち自慢なわけないでしょ！半分以上が中古ですよ。何が言いたいかといえば、スコアに一番影響度の高いクラブはパターなんですよ。決してドライバーではない。極端なこと言えば、ドライバーなんて、二打目が打てる場所に置けるものであれば、飛ばなくても一向に構わないんです。しかも、ティショットをドライバーで打つ必要がそもそもないですから！」

筆者　「うるさいなぁ。分かってますよ！そんなこと改めて言われなくても。それに、何十本も買ったのなんて、自慢にも何にもなりませんよね？ただ、合うものを見抜く眼力がなかったという証明じゃないですか。ギアを見極める能力があるなら、1本めでしっかり自分にアジャストしたものを選び抜けばいいだけでしょうが！何を言ってるんだか、まったく…。それに、ボクの購入本数が少ないのも、8年くらい前から圧倒的なエースパターが見つかってから、買い替える必要がなくなったってだけの話しですよ。パターの買い替え本数が少ないボクの眼力を褒めるのが筋であって、批判なんてまったくの的外れですよ！！！」

P筒＆P編　「……」

P編　「長岡、何も君を批判したいわけじゃないんだよ。それだけ、我々がパターに悩んできた証明なんだよ、この買い替え本数は。人知れずエースパター不在に悩んで苦労してきたんだ、スコアを縮めたくて。君は圧倒的なエースパターが見つかっていて、買い替える必要がないと信じ込めるのは、とても幸せなことなんだぞ？分かるよね、生涯最高の伴侶を見つけることがいかに難しいか。これは下手すると、女房選びと同じくらい難しいことかもしれないんだ…」

P筒　「村田さん、心の傷が疼くのでやめてください…。もう涙が止まりません…」

筆者　「筒さん、何かすみませんでした。まさか泣くほど辛い記憶だと思わず、不用意な発言してしまいまして。許してください」

P筒　「グスンッ…（元女房の話とクロスオーバーさせたのは村田さんなんだけど…）」

P編　「ところで、長岡。君のこないだの70台って、確か見慣れぬ初モノのパターであって、今までのエースパターじゃなかった記憶があるのは気のせいか？しかも、君はエースパターでいつも36パット以上していると認めたよな？さぞや古女房、いや、エースパターはスコアになってきたんだね、君の中では。えらくエースの合格点が低いことで。我々からすると、その自分への甘さは羨ましい限りだよ！」

P筒　「えっ！そうだったんですか？それ、やっぱりエースパターが最悪なスコア製造マシンだったってことじゃないですか！それのどこがエースパター？？？なんだよ、泣いて損した。長岡さん、また騙しましたね！キィィーーーッ」

筆者　「あ、そっか、筒さんにはまだ言ってませんでしたね。『スパイダーツアーブラック』が純回転でめっちゃ入るんですよ、今までのエースとまったく違う形なのに。エースパターは8年ぶりに交代です！筒さんも、あらゆる意味で“新女房”探したらどうですか？」

P筒　「キィィーーーッ。村田さん、今すぐカラオケのリモコンか、ビール瓶持ってきてくださいッ！！！」


Text/Mikiro Nagaoka