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“現代の低スピンFW”を扱えるヘッドスピード!畑岡奈紗が海外で通用する理由

text by kazuhiro koyama

配信日時:2016年10月27日 14時30分

“低スピン化した現代のフェアウェイウッド”でも高さと距離を出せる畑岡

畑岡の日本女子オープン優勝セッティング。3番ウッドではなく、4番ウッドをバッグに入れたことが効を奏した

畑岡の日本女子オープン優勝セッティング。3番ウッドではなく、4番ウッドをバッグに入れたことが効を奏した

 さて、ギアの話に移そう。勝負の趨勢を決めた17番のセカンドショットに注目したとき、浮かび上がるのは現代のフェアウェイウッドの特性だ。2012年にテーラーメイドから『RBZ(ロケットボールズ)』が登場し、2013年には“300ヤードスプーン”の異名を持つ『X HOT』が登場した。これ以降、フェアウェイウッドは低スピン化が一気に進み、その結果、飛距離も大幅にアップした。

 しかし、一方で低スピン化するということは、ボールが上がりづらくなっているということでもある。ビシっと芯を喰ったボールが低スピンで大きく飛ぶなら、少しライが悪かったり、当たりが薄かったりすると、適正なスピンが得られず失速しやすくなる。

 畑岡はもっとも飛ぶフェアウェイウッドが、ロフト角17度(※4番ウッド相当)、堀は18度の5番ウッドだ。彼女たちのような卓越したゴルファーであっても、現代の3番ウッド(※通常 ロフト角15度程度)でボールをあげるのは簡単ではないことが、クラブ選びからもわかる。

 畑岡の17番のセカンドショットが成功したのも、この点が大きかったと思う。低スピンになりがちな現代のフェアウェイウッドでも、高さと距離を出せるヘッドスピードの速さがあり、ボールが上がりにくい3番ウッドではなく、4番ウッドをバッグに入れていた。

 これは、18番でも同様で、アゲンスト風でアップヒル、池超えのセカンドショットを、ショートアイアンでピンを狙うことが出来た畑岡に対して、堀はセカンドで6番アイアンを持たざるを得なかった。最終日の18番のピン位置を6番アイアンで高さを出して止めるのは、女子選手では至難の業だ。

 堀にとっては、飛距離の差がそのまま17,18番のスコア差になったといえるだろう。アマチュア時代からステップアップツアーで優勝するなど、キャリアでは、畑岡にも負けない天才プレーヤーで、経験やスコアメイク技術では引けは取らなかったものの、唯一、飛距離には決して小さくない差があった。

 畑岡はアメリカへの挑戦を表明している。現代のUSLPGAはレキシー・トンプソンに代表されるような男子並みの飛距離と、60台前半のビッグスコアが連発する時代となっている。決して簡単ではないだろうが、畑岡の飛距離とショット力はすでにアメリカでも通用するレベルにある。

 畑岡は来季の米国女子ツアー出場権を得るためにクォリファイングトーナメント(QT)に参加している。セカンドQTを突破し、11月末から始まるファイナルQTに挑む。

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