ツアーで目にした見慣れないクラブ、それが…
正確にはバルドの『COMPETIZIONE 568』。ブランド名こそ聞いたことはあったが実際にツアーの現場で目にしたのは初めて。早速、バルドを展開する株式会社Evangelist Japan(兵庫県姫路市)の代表取締役・梅本伸昌氏を直撃した。
無名のタイ人ゴルファーにクラブを提供したのは「タイの選手の多くはハングリー、その方たちは契約金うんぬんじゃなくて、自分にあった良いクラブが使いたいんですよ。我々ぐらいの会社でよければ協力してあげるよ、というのが僕のスタンスなんです」。契約金やクラブ調整のことを考えれば、プロのほとんどはツアーバンを出せる大手メーカーのクラブをチョイスするのが一般的。その中で地クラブを選ぶプロはごく一部、本当にそのクラブが気に入ったので使っているのだろう。アリヤが活躍する前のタイの女子プロの代表格、ポーナノン・パットラムはバルドの契約プロだった。兵庫発の地クラブがタイで人気、しかもそれを使用したプロが日本で勝つ――。これは稀有なことだろう。バルドについてもっと知りたいと思い、改めて梅本氏が東京に来るタイミングで話を聞いた。
一枚のデッサンから全てがはじまる
バルドでは“いついつまでにクラブを出す”、といった商品サイクル的な期限は存在しない。それは「いろんな方とお話したり、ギター弾いたり、そういうところでひらめいたりするのを待っている。無理に作ろうとして、作れるものではない」(梅本氏)。また、発売したクラブもそのほとんどが数量限定。チュティチャイが使用した『COMPETIZIONE 568』は問い合わせが急増し、同じスペックをオーダーをする客も多数出たが、それでも「売り切れたら終り。よくもっと作ってくれって言われるんですけども、そんな売れ続けるブランドでもないので(笑)」。本当に商売っ気のない会社のようだ。