<ZOZOチャンピオンシップ 事前情報◇23日◇アコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブ(千葉県)◇7079ヤード・パー70>
日本で唯一開催される米国男子ツアーが今年も開幕。練習日会場では、なにやら“真っ白な箱”を手にする選手たちの姿が見受けられた。その箱を開けてみると、中に入っていたのはタイトリストの『プロV1』、『プロV1X』の新しいボールだった。
先週の米ツアー「シュライナーズチルドレンズ・オープン」からPGAツアーの選手たちがテストを実施しており、今週の「ZOZOチャンピオンシップ」の会場でも試打がされている。
日本勢もテストをしており、即投入を決意した選手のひとりである小平智は『プロV1X』で戦う。「以前のボールよりも打感が少しやわらかくなった感じ。スピン量が増えたようにも感じています」と感触を明かす。「だからと言って、距離が落ちているわけでもなく、違和感がない。やわらかくなって、距離が落ちたように感じるのはよくないけど、それを感じないのでいい傾向だと思う」と高い評価だ。
バーディチャンスをつくるためにも、グリーンを狙うときの残り距離に対しての精度が当然ながら大事になってくる。距離の感覚がおかしくなると、チャンスにつける機会も激減するとあって、なるべく同じ道具を使用し、イメージを保ちたい選手もいるだろう。そのなかで打感、スピン量の変化があっても飛距離に変化がないため、小平はシーズン終盤という大事な時期でも、すぐに投入することができている。
さらに今回の舞台になっているアコーディア・ゴルフ習志野CCは、「グリーンが速い」と選手たちが口を揃えている。スピン量が増えて止まりやすくなった新ボールは、大きな味方になるに違いない。
米ツアー通算1勝のリー・ホッジス(米国)も先週から投入した選手のひとり。現在のフェディックスカップランキングは78位で、51~60位の選手が出場できる来季の格上げ大会への出場権を得るためにも、順位を上げていきたいところ。そんななか新しい『プロV1』のボールをテストし、使用することを決断。同社のツアー担当者は、テスト時の感触について明かす。
「ホッジス選手は、すごいローボールヒッター(低い弾道)です。もともと弾道の高さが足らないが故に、例えば長いパー3とかで、弾道が少し低くて鋭角にボールが落ちてしまって『こぼれちゃった』とグリーンを外してしまうなどの悩みがありました。今回のプロV1は少しスピンが入るので、彼のイメージよりも高い位置からボールを落とせるように感じられる。落下角度も高いところから落ちていくので、ボールがすごく止まりやすくなったと実感しているようです」
もともと低い弾道のショットが持ち球のホッジスは、自身のイメージ通りにボールが止まらず、チャンスを逃す場面も多かった。ただボールの高さを出すためにスイングを変更するとなると、これまでつくりあげてきた形を一旦崩して安定させるまでにどうしても時間がかかる。しかし、ボールの性能で理想の弾道に近づければ、それが近道にもなる。今週は新プロV1の力を借りて、多くのポイントを稼いでいきたい。
契約外で使う世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)は、『プロV1』で今季7勝を挙げている。2023-24年シーズン39戦28勝の『プロV1/V1x』シリーズ。生まれ変わった新ボールは、どれぐらいの多大なる効果を選手にもたらすのだろうか? 注目していきたい。(文・高木彩音)