<マイヤーLPGAクラシック 最終日◇21日◇ブライスフィールドCC(ミシガン州)◇6611ヤード・パー72>
激戦になった終盤。最後に笑ったのは山下美夢有だった。首位との5打差を追いかけてスタートした最終ラウンドは、その後半にドラマが待っていた。
前半からアクセルは全開だった。スタートから2連続バーディを奪うと、4番から再び連続バーディ。7番でも1つ伸ばして「31」で折り返した。一気にリーダーボードのトップへと駆け上がっていく。
ただ、2位から出た最終組のロティ・ウォード(イングランド)も応戦。両者は並走、山下が単独トップに立っても引き離せない、そんな時間が流れた。
後半も順調にスコアを伸ばしていた山下だったが、「悔しかった」と嘆いたのが15番パー3での3パットだった。2.5メートルのバーディパットがカップに蹴られると、その後、1メートル弱のパーパットも右をすり抜けた。この日、唯一といってもいいミスで、初めてのボギーを喫してしまう。それでも、1打ビハインドで迎えた2オンが狙えるチャンスホールの最終18番をバーディ締め。クラブハウスリーダーとしてホールアウトした。
ロティにも、終盤17番でビッグプレーが生まれた。17番パー4でセカンドをグリーン左サイドのバンカーに入れながらも、そこからの3打目が直接カップイン。これで山下を1打リードし、チャンスホールの最終18番に向かった。ロティはパー以上であがるだろう…そんな見立てをするのも自然な状況と言えた。
実際、ロティが18番に入った時点では優勝の行方は分からなかったが、プレーオフの可能性を残していた山下はギャラリーのサインに応じたり、関係者と談笑したりと、どこかリラックスした様子も見せていた。
ただ、18番で2打目をグリーン左ラフに外すと、続く3打目のアプローチもカップを大きくオーバー。最後は短いながらも難しい下りのスライスラインを外し、まさかの3パットでボギーを叩いた。優勝の行方はプレーオフへともつれ込んだ。
そして18番で行われたプレーオフは、両者とも勝負の3打目はカップをオーバー。下り傾斜が強く難しいラインだ。先に2.5メートルから打ったロティは決められず。「緊張していたので、それが一番だった」。内側の1.2メートルにつけた山下にとっては、ラインやタッチよりも、昨年10月「メイバンク選手権」以来の勝利がかかる自分自身との勝負だった。「あとはラインに打つだけ」。最後は自分を信じて放った一打が見事にカップに吸い込まれると、力強く右拳を握るガッツポーズを繰り出した。
おそらく、会場にいたギャラリーも含め、“ロティに流れがある”と感じていた人は多かっただろう。ただ最後まで何が起こるか分からないのがゴルフということを痛感する終盤戦だった。「きょうのプレーは褒めてあげたい」。ショット、パットともに噛み合った山下が手繰り寄せた勝利だった。
今季12試合目にしてようやくつかんだ初勝利。前戦の「全米女子オープン」34位など、結果、内容ともに最近は思うようにいかず、どこか険しい表情も続いていた。自分を信じ抜いた先に待っていた、ひさしぶりの大きな笑顔だった。(文・齊藤啓介)

