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「諦めない」心で奪ったバーディが効いた 意気消沈の西村優菜に舞い込んだ“逆転劇”

荒れた北アイルランド戦で、西村優菜が意気消沈しながらホールアウトしたものの…薄氷の予選通過!終盤に勝負の綾があった。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2023年8月19日 08時15分

<ISPS HANDA・ワールド招待 2日目◇18日◇ガルゴルム・キャッスルGC、キャッスルロックGC(北アイルランド)◇6486ヤード・パー72、6231ヤード・パー73>

「カットラインは3か4(オーバー)かなと思っていたので、厳しいですかね…」。午前組のプレーでスコアを4つ落とし、トータル5オーバーで戻ってきた西村優菜は意気消沈といった様子だった。その時点でのカットラインは2オーバーで、予選落ちを覚悟していた。しかし、さらにコンディションが厳しさを増した午後組のスコアが伸びず、だんだんと通過ラインが下がっていく。最終的に、西村のいる5オーバー・52位グループまでが決勝に進むことが決まった。

かなり深いラフからのショットもありました【写真】

「ずっと流れは悪かったですし、いい方にいかなかったけど、最後まで諦めずにやっていました」。そんな気持ちが実ったかのような“滑り込み劇”ともいえる。林間コースのガルゴルム・キャッスルGCを回った2日目は、吹いたり止まったり、フォローになったりアゲンストになったりという気まぐれな風に苦しめられ「76」とスコアを落としながらも、最後のパットまで集中し続けた。そして、この“逆転劇”の勝負の綾になったのが、後半の7番パー3だった。

7番ウッドで放ったティショットはグリーン左奥のバンカーに外れたものの、そこから15ヤードのリカバリーショットを直接決めたのがその場面。「結果的に(クラブは)一番手下を選ぶべきだった。いいショットだったこともあってオーバー。キャディさんと番手を下げるか悩んだけど、アゲンストがけっこう吹いてきたので打ったら、合いませんでした」。ただミスをしてもすぐに気持ちを切り替え、「あと3ホールあるからなんとか…」という願いを込めた一打を決めた。これで、自らが設定した予選通過ラインの4オーバーにたどり着いた。

ただ直後の8番を、「だからこそくやしかった」と振り返ることになる。決勝進出へもうひと踏ん張り。そんなホールで、ティショットが大きく左に曲がった。ガルゴルム・キャッスルはラフが非常に深く、ひとたびそこに入るとグリーンを直接狙うのが困難になるほど。さらには午前中に降った雨が地面を湿らせ、そのうえ気まぐれな強風が吹く難コンディションのなかであれば難易度は急激に増す。この8番のセカンド地点も強烈なアゲンストが吹き荒れており、2打目は前方のフェアウェイに出すので精いっぱい。反撃の狼煙に水をかけるようなボギーが来てしまう。

そこまでも14番と2番で2つのダブルボギーを叩くなど、とにかく流れがつかめない一日でもあった。フェアウェイが重く、パー4のセカンドで3番ウッドを握ってもグリーンに届かないという場面も散見する。そのなかでピンチをしのいでいく、そんな旅路だった。リンクスのキャッスルロックGCをプレーした前日も「未知の世界」と表現したほどの強風に手を焼いていたが、2日目は舞う風との戦いを強いられた。それでも、しぶとくつかんだバーディが、結果的に運命を左右することになった。

悔やんだ8番や、ダブルボギーを喫した2つのホールもそれが原因になったのだが、この日は左へのショットミスも目立った。とにかくラフに入れたら1ペナと言っても過言ではない状況だっただけに、フェアウェイキープはスコアメイクの肝といえるが、そんなミスにも足を引っ張られた。「自分自身、左へのミスはあまりないので、『なんでかな?』と思いながらラウンドしていた。まだ原因は分かりません」と、首をかしげる。その修正も急務となる。

紆余曲折あるなかで舞い込んできた3日目のラウンドだが、安心する時間はあまりない。今大会は3日目終了時点で35位タイに入ってない選手はセカンドカットの対象になるからだ。すぐに最終日進出をかけた争いが始まる。先週のメジャー大会「AIG女子オープン」(全英)を21位で終え、ポイントランキングは76位に浮上して第2回リシャッフルもクリア。ここから10〜11月に中国、韓国、マレーシア、日本で行われる米国女子ツアーのアジアシリーズ出場権を目指しポイントを稼いでいこうと気合も入っているだけに、少しでも多く稼ぎたいところ。

今週がフランス、英国、カナダ、米国と大陸を股にかけての7連戦のちょうど中間地点。ラウンド後には「体もメンタルもきつかったので少し休もうかな」とも話していたが、休息は少しだけ延期することになる。現在のセカンドカットラインは3オーバー。“逆風”を“追い風”に変えた勢いを、浮上へのバネにしたい。(文・間宮輝憲)

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