<ヨネックスレディス 最終日◇7日◇ヨネックスカントリークラブ(新潟県)◇6483ヤード・パー72>
朝イチでOB2発。一般のアマチュアゴルファーならすっかりやる気を失ってしまいそうな状況から立て直してきた選手がいる。昨年のプロテストでトップ合格を果たした18歳の伊藤愛華だ。トータル1アンダーの19位タイはここまでの最高成績。期待のルーキーにとって、飛躍のきっかけをつかんだ1週間になったのかもしれない。
「またか」。初日の1番パー5で、いきなりのOB連発にルーキーの心は折れそうだった。4月から7試合連続の予選落ち中。「精神的に負けている感じの予選落ちが続いていて、きょうも強いメンタルでいられていないなと思いました。3球目を打つ前には二度と真っ直ぐ打てないんじゃないかという気分で手が震えそうでした」。
いきなり4打の借金と精神的ダメージを抱えてのスタート。それでも、なんとか気持ちを奮い立たせて、1番はトリプルボギーの「8」でホールアウトした。その後は3バーディを奪うなど「75」と耐え抜く。初日の首位のスコアは2アンダーの「70」。タラレバではあるが最初の2発がなければ、上々のスタートだったことになる。
「これまでならズルズルいっていたと思います。でも、ここまでにいろんな経験をさせてもらって、自分で崩さないために何をするかを考えて、それが今週に繋がったのかなと思います」。1カ月前からほぼ毎日、メンタルトレーナーとその日のラウンドを振り返っている。試合の中でどう気持ちを作っていくのか、少しずつその成果が出始めた。
2日目は「70」のラウンドでひさびさの予選通過。最終日も「70」で順位を上げた。「あそこから予選を通過できて、最終日は2アンダーでしたけど、もっとたくさんチャンスがあって、最近の中ではいいプレーができたと思います」。メンタル面だけでなく、技術的にも上達の実感がある。
13番パー5では苦手だったニアサイドからのアプローチを寄せてバーディを奪った。「グリーンを少しこぼれたところだったのでピンまでは6ヤードぐらい。飛ばない条件を作って、ウェッジでパターのように打ちました。今までならいつもより少しフェースを開いて、10メートルオーバーしていたかもしれません」。これは先週の練習で取り組んだばかりの打ち方だった。
「自分を上手いとは思っていないので、トップ合格のプレッシャーというのはないんですけど、いろんな方に期待されているとは感じています。プロテストをまぐれにはしたくないので、これからも進化を続けて、ルーキーイヤーで初優勝という目標を達成したいです」
そのためにはまず試合に出続けること。間近に迫ったリランキングを突破しなければならない。暫定リランキングは52位。第2回リランキングまでのフル出場にはポイントの上積みが必要だ。「まだ、この試合で自信がついたのかはわからないですけど、リランキングまでの2試合は強気で頑張ろうと思います」。伊藤が秘めたるポテンシャルを発揮する日は近そうだ。(文・田中宏治)
