<台湾ホンハイレディース 初日◇12日◇ザ・オリエントゴルフ&カントリークラブ(台湾)◇6720ヤード・パー72>
強い傾斜のグリーンと強風が大きなプレッシャーになるコースで、選手たちは事前の予想通りタフな一日を過ごした。アンダーパーは108人中わずか5人。首位に立ったヌック・スカパン(タイ)は7アンダーのビッグスコアを出したが、それでも決して油断などできない状況だ。
そんななか、このコースにはもうひとつ“別のプレッシャー”を選手たちに感じさせる要素がある。それが自由気ままに過ごすクジャクの存在。会場となるザ・オリエントG&CCを歩くと、至る所でクジャクに遭遇する。日本ではとてもではないがお目にかかれない光景に、選手たちも目を丸くする。
これは“台湾では当たり前の光景”…というわけでもない。もともと『何か名物を』と考えたコースが1羽のクジャクを飼い始めたことが、すべての始まり。その後、もう1羽が追加され“つがい”になると、あれよあれよという間に繁殖し、今では100羽以上が生活するようになったそうだ。
かなりの頻度で“クェッ~”という鳴き声も響く。15番付近に巣を構えているそうで、そこからクラブハウス前や1番ティ付近などに“出動”。選手、関係者をはじめ、ギャラリーも当然ながら目を奪われる。
初日を1アンダー・5位で終えた佐久間朱莉も、プレッシャーを感じたひとりだ。15番ティに入った時、そこには立派な羽をひろげたクジャクが待ち受けていた。まるで佐久間のティショットを観戦するような構図。選手が祈ったのは「鳴くなよ~」という一点だった。羽をひろげたクジャクは、迫力も十分。それは「ギャラリーの方の声などは、あまり気にならない」という佐久間でさえ、「圧を感じました。インパクトがすごいですね」と笑うしかないほど。
幸い、無事に鳴かれることもなくティショットを終え、しっかりとフェアウェイもキープ。「日本では見られないですよね。キレイだけど…怖かったです」という本音もこぼれるが、これもこのコースの醍醐味(?)だ。
日本の女王として臨む大会は、スタートの10番で下ってから上る4メートルのバーディパットを沈めて開幕。そこからも「タフなコンディションでした。うまく打っても2~3メートルは残るホールばかり」というグリーンの形状に手も焼いたが、2バーディ・1ボギーで数少ないアンダーパーのひとりで終えることができた。1988年のツアー制度施行後初となる開幕からの2連勝に向け、上々の滑り出しと言える。
ちなみにクジャクは、その美しい羽が末広がりになっていることから幸運や富を呼び込む象徴ともされる。さて今週、そのご加護を一番受ける選手は一体、誰になるのだろうか?(文・間宮輝憲)
