<ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 最終日◇27日◇利府ゴルフ倶楽部(宮城県)◇6600ヤード・パー72>
「周囲から期待されているのは感じていたので、その声援に応えられてよかったです」。8月の「AIG女子オープン」(全英)制覇から6試合目。桑木志帆が、メジャー女王になってから初めての優勝を宮城でつかみ取った。「よろこびが8で安堵が2」。これまでの5勝とは少し異なる、そんな勝利の味でもあった。
終盤まで最大3人がトップに並ぶ緊迫の展開を制した。「緊張する場面が多かったんですけど、先週、気持ちで負けている部分が多かったので、それを見直して、最後はいい感じで上がることができました」。首位と1打差で迎えた最終日は、4連続バーディから始まった。
残り147ヤードの2打目を7番アイアンで6メートルにつけた1番で、それをねじ込み流れに乗った。2番では2.5メートル、3番では1メートル強のパットを決め、4番パー3でも手前から6メートルを沈めた。このまま独走してもおかしくないほどの序盤だったが、パーオンに失敗し、手前から2メートルのパーパットを外した5番を境に、力みがあることも感じていた。
「クラブが上から入って、うまくボールにコンタクトできなかった。上ってから下る、神経を使うパットも増えてきて、自信を持ってパターが打てないところも出てきました」。8番では右手前5メートルからのバーディパットが下り傾斜に乗って5メートルオーバー。11番でもボギーを叩くと、優勝争いは混沌としたものになる。
だが、どれだけ気持ちが焦っても、桑木には決めていることがある。「言い訳とか弱音が出てしまうけど、それを抑えるように頑張りました」。とにかく冷静になり、グチはこぼさない。「ピンポジションが難しくてパターが弱気になっていて、キャディさんに『嫌だっ!』て言いそうになったけどこらえました。5番のボギーから13番までは多かったけど…ガマンしました」。文字通り、耐えるゴルフに徹した。
もともとプレー中に感情が出やすいタイプ。だが、優勝した全英の時も、どれだけしびれる場面でも涼しげな表情で歩く姿が印象的だった。「だらけた態度はやめてます。ふてくされないようにも意識して。ピンと背筋を伸ばして歩いています」。
メジャー優勝の肩書が加わった今は、さらに“責任感”も増している。コースでの注目度は、当然ながら高まっている。帰国後の初戦に選んだ「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」では、そのプレッシャーに飲み込まれそうにもなった。だが、今はそんな“重圧”も“楽しさ”に変えている。
増えているギャラリーも「多ければ多いほどうれしいので、ありがたい」。グッズを持って応援している人を見ると「すごいうれしい」。全英の会場では「目立ってなんぼ」と話していたが、まさにその精神で緊張を力に変えた。
この勝利で200ptを加算したメルセデス・ランキングでも、先週優勝した2位の佐久間朱莉との差を733.13ptに広げた。大きなアドバンテージはあるが、まだメジャー2試合を含む10試合を残しており、「(ランキングは)見ないようにしてます。毎試合ヒヤヒヤしてます」と笑う。
来週はメジャー今季第3戦の「日本女子オープン」に臨む。会場となる兵庫・宝塚ゴルフ倶楽部でも、背筋をまっすぐに、優勝へ向けて歩みを進めていく。(文・間宮輝憲)
