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“練習場のおじさん”を「見返したかった」 初V遂げた下家秀琉が大事にするゆっくりスイング

あの日の“練習場のおじさん”へ。ゆったりスイングの23歳・下家秀琉が初タイトルを手にした。

所属 ALBA Net編集部
小高 拓 / Hiromu Odaka

配信日時:2025年10月6日 07時54分

ゆっくりスイングの下家秀琉がツアー初優勝
ゆっくりスイングの下家秀琉がツアー初優勝 (撮影:ALBA)

<バンテリン東海クラシック 最終日◇5日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71>

昨季初シードを獲得したプロ3年目の23歳・下家秀琉(しもけ・すぐる)は首位タイから出た最終日、1イーグル・7バーディ・2ボギーの「64」で回り、2位に1打差をつけて逃げ切り。プロ25試合目の出場でツアー初優勝を遂げた。

【写真】一応やってみたガッツポーズ

初日から「67」「67」「69」と60台を並べて迎えた最終日。「(大会が)始まる前から『1日は絶対に崩す』みたいな話をしていて、『そろそろ来るかな』と思っていたんですけど、来なかった。結果につながって良かったです」。最終日は崩すどころか、バーディラッシュで有終の美を飾った。

勝因として、「今週はショットが良くて、自信を持って打てていたからだと思います」と持ち前のショット力を挙げる。強気に攻めるアグレッシブさも持ち合わせており、身長180センチ、体重85キロの大きな体で、ゆったりとしたリズムから“ビシッ”と振り抜くのが下家のスタイル。

「ゆっくりの中でもしっかり打つことをイメージしています。しっかり打つ意識が強すぎると、切り返しが早くなってミスしてしまうので、ゆっくりとしたリズムで、フィニッシュをちゃんと取れるタイミング。最後の18番の2打目は意識しました」

18番はグリーンの右横と手前に池が待ち構え、ピンは右から4ヤードと端に切られていたが、果敢に攻めて5メートルにつけた。追いすがる安森一貴を振り切ったウィニングショットだった。

下家のリズムは、昔からよく言われる「チャ~、シュ~、メン」では間に合わないほどゆっくりとしている。同じく緩やかなスイングで知られる時松源蔵と回ると「いいイメージで振れる」という。打ち急ぎがちなアマチュアこそ参考にしたいリズムだろう。

過去には“ゆっくり”を批判されたこともある。練習場でボールを打っていると、見知らぬ年配の男性が声をかけてきた。「『ゆっくりすぎるからあかん』みたいなこと言われて…。でも自分のスタイルは曲げずに、いつか見返そうと思っていました」。周囲から何を言われようと、自分のスタイルを貫く強さも持ち合わせている。

大阪学院大高校3年時、2019年大会の予選会を突破して、初めてツアー出場を果たしたのが今大会だった。そして2年後の21年大会ではプロツアーで初めて予選を通過。40位タイでベストアマを獲得しており、「勝ちたい大会だった」と思い入れの強い三好CCで初優勝を挙げた。

将来は米ツアー挑戦を念頭に置き、「マスターズ」出場を目標に掲げる。その前に「一番気合が入るし、人生の中でも取りたいタイトルの一つ」というのが、下家の次戦となる来週の「日本オープン」(栃木県・日光カンツリー倶楽部)だ。今年は優勝者に26年マスターズの出場権が与えられる。日本タイトルの先に、あこがれのオーガスタが待っている。

「この試合で優勝できて弾みをつけられました」と自身への期待も高まっている。ナショナルオープンでも、ゆっくりリズムの下家に注目だ。(文・小高拓)

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