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“裏方”にも光が当たった一週間 大会が払ったキャディへの賞金とリスペクト【現地記者コラム】

「ロピア フジサンケイクラシック」として再スタートを切った大会は、選手はもちろんキャディにもスポットライトが当たる一週間となった。

所属 ALBA Net編集部
齊藤 啓介 / Keisuke Saito

配信日時:2025年9月9日 11時00分

進藤大典氏(左)と長野泰雅のバッグを担いだ山本凌平キャディ(右)
進藤大典氏(左)と長野泰雅のバッグを担いだ山本凌平キャディ(右) (撮影:福田文平)

元タレント、中居正広氏の女性トラブルを巡り、大会主催者の一つであるフジテレビの対応が問題視され、開催の見通しが不透明となっていた国内男子ツアー「フジサンケイクラシック」。そこにロピアが特別協賛として加わり、「ロピア フジサンケイクラシック」として再スタートを切った今大会は、選手はもちろんのことキャディにもスポットライトが当たった、これまでにない一週間となった。

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その象徴となったのが「ロピア・ベストサポート賞」である。優勝選手のバッグを担いだキャディに対しても大会から賞金が贈られる新たな試み。初優勝を飾った長野泰雅のキャディを務めた山本凌平氏は、優勝賞金の10%にあたる220万円を手にした。

ロピアはこれまでも内藤寛太郎、今平周吾、時松源蔵、清水大成、勝俣陵ら男子プロと契約を結ぶなど、男子ゴルフとの結びつきが深いことでも知られる。代表取締役の高木勇輔氏は「男子ツアーを盛り上げたい」という強い想いを持ち、今大会でも自ら内藤のキャディとして“出場”していた。

これは以前から親交のあった松山英樹の元キャディ・進藤大典氏と「男子ツアーで何かできないか」と会話をする中で、今回の取り組みが生まれたという。男子ツアーの試合数減少は、選手だけでなくキャディの仕事場をも奪う。男子ツアーの人気回復、そしてキャディの存在価値を示すべく「賞金付与」という仕組みが導入されたというわけだ。進藤氏も「新しい文化ができれば」と期待を寄せていた。

さらにロピアは、大会最終日の全パー3(4番、7番、11番、13番、16番)にホールインワン賞を設定。各ホールにツアー史上最高額となる1000万円が設けられたのだが、ここでも選手が900万円、キャディにも100万円が割り当てられた。竹安俊也と杉浦悠太がそろってエースを達成し、それぞれ500万円を分け合ったが、キャディにも50万円が渡り、思わぬボーナスに笑顔が広がった。

「阪神タイガースのグッズを集めたい」と語った優勝キャディ・山本氏のように、ボーナスの使い道を楽しげに話すキャディの姿もあった。第2ラウンドでホールインワンを決めた生源寺龍憲のキャディを務める神田なおみ氏は「注目してもらえない職業なので、そういった気配りはすごくありがたい」と語り、賞金はもちろんキャディへの配慮が何よりもうれしいと感じていた。

キャディの報酬は通常、宿泊費などの経費に加え、インセンティブとして選手から獲得賞金の5~10%が支払われるのが相場とされている。当然ながら予選落ちが続けば収入は激減し、生活の不安もつきまとう。そんな現実の中で、“裏方”に光を当て、優勝キャディを表彰式に呼び込むという演出まで加えられた今回の大会は、キャディという職業へ最大限のリスペクトが感じられた。

キャディは裏方でありながら、戦いの最前線に立つ存在。「ロピア フジサンケイクラシック」は、それをファンや視聴者に再認識させた大会だったと言えるだろう。霊峰見守る富士桜で、キャディがいつも以上に輝いた一週間となった。(文・齊藤啓介)

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