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「ゴルフの“ゴ”の字もない」高知の田舎町出身の大学4年生、岡田晃平が首位タイ発進

今年もアマチュアが存在感。東北福祉大4年の岡田晃平が首位タイ発進を決めた。

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2023年10月13日 07時02分

会心バーディ締めで力強いガッツポーズ
会心バーディ締めで力強いガッツポーズ (撮影:米山聡明)

<日本オープン 初日◇12日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>
 
蝉川泰果の初日からトップを譲らない完全Vのアマチュア優勝から1年。今年の「日本オープン」初日もアマチュアがリーダーボードのてっぺんにいる。東北福祉大で蝉川からキャプテンを受け継いだ岡田晃平だ。

首位発進の堀川未来夢と熱い握手【写真】

各組の選手のスコアが表示されたキャリングボードを持ち歩くボランティアたちがすれ違うと、「赤は珍しいね」と言葉をかわす。アンダーパーなら数字は赤、オーバーパーなら数字は青で表示される3人一組のキャリングボードは、ほとんどの組で青の数字が3つ並ぶ。
 
そんな我慢比べの大会で、午後組でスタートした岡田は、前半だけで4バーディを奪い、一気に首位に躍り出る。後半に入って10番、11番の連続ボギーで落としたものの、15番で1つ獲り返し、最終18番では6メートルをジャストタッチで沈めてバーディ。目の前で先にベタピンにつけてバーディを奪った堀川未来夢が、4アンダーで単独首位に立った直後に入れ返して追いつき、右手を突き上げるガッツポーズで締めくくった。
 
「堀川さんが4アンダーになっておいしいところを持っていかれそうだったので、入って良かったです」と笑顔を見せる。同組で回ったツアー4勝の堀川は、「彼はアマチュアなんですか? 圧倒的に自分よりいい球を打つし、レベルも高いといったら失礼になるくらい。まともにツアーに出たら、普通にシードを獲って優勝をしてという選手だと思う」と絶賛した。
 
岡田は四万十川が流れる高知県中西部の山間にある中土佐町出身。「ゴルフの“ゴ”の字もない」環境だったが、「父も高知出身なんですけど、就職のときに神奈川で就職して、そこでゴルフを覚えて帰ってきて、気づいたらゴルフをしていました」と、9歳からクラブを握った。松山英樹と同じように明徳義塾高から東北福祉大に進み、大学3年時の昨年には1学年上の蝉川泰果に競り勝ち、「日本アマチュアゴルフ選手権」のタイトルをつかんだ。
 
昨年、蝉川の95年ぶりとなる日本オープンでのアマチュア優勝の快挙は、間近で見ていた。岡田はトータル11オーバーで28位タイ、蝉川は唯一の2ケタアンダーとなるトータル10アンダー。まさに異次元のゴルフで“日本一”の称号を手にした。「予想の3倍とか5倍くらい超えてきたのでポカーンとしていた。日が経つにつれて、蝉川さんがいろんなニュースに取り上げられるので、優勝したらこのくらい有名になるのかなって。それが自分自身の励みになっています」と語る。
 
そんな蝉川に対し「120%くらい意識している。やっぱり負けたくない」と対抗心を燃やす一方で、「ツアー会場で会ったら、声をかけてくれるので、すごい気にしてくださって、やさしい先輩だなと思います」と感謝もしている。
 
意外にも「そんなにゴルフが好きじゃない」と話す岡田のモチベーションとなっているのは、「知名度を上げたい」という欲求だ。「ゴルフをしている人だったら松山さんは誰でも知っていると思う。ゴルフ場に来た人が全員僕の名前を知っている。それくらいの存在になりたい」。昨年、蝉川が有名になっていくのを見て、その思いをさらに強くした。
 
では、岡田は有名になることで、何を得たいと思っているのか。「僕はすごく田舎から出てきたので、有名になれば地域のみんなが喜んでくれる。人によって違いはあると思うんですけど、僕は自分よりも人を喜ばせたい。いつも支えてくれる人や、応援してくれる人たちに、少しでもいい知らせを届けられるように」と理由を語る。「好きなんですけど、みんなの好きとはちょっと違う」ゴルフも、「いまは怖いものがないので、それが逆に原動力になる」とメリットに感じている。
 
「早くプロにはなりたい」。JGAナショナルチームメンバーの資格で、来年のツアー出場権をかけて戦う予選会(QT)には、2週後に迫るセカンドから出場する。そして将来も見据え、JGAナショナルチームのメンタルコーチを務める菅生貴之氏と、パフォーマンスが上がる方法に取り組んでいる。
 
「僕は怒って強気な気持ちで回るのがいいタイプなのか、気持ちの浮き沈みがないように回るのがいいタイプなのかデータと取ったときに、気持ちがガーンといったときにそれがパワーに変わると分かった」。最終18番のバーディがそうであったように、岡田は大きなアクションを取ることで気持ちを上げてプレーする。
 
金谷拓実、中島啓太、蝉川といったJGAナショナルチームのメンバーたちが、技術やマネジメントだけでなく、体と心のトレーニングも学んでアマチュア時代にツアー優勝を成し遂げてきた。岡田もあとに続けるか。(文・下村耕平)

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