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シード権争いは最終章 当落線上は池田勇太の見込み ベテラン達の来季“職場”の行方は…

来季のシード権が決まる“最終戦”「カシオワールドオープン」で滑り込みを狙うベテラン勢は何を思う?

所属 ALBA Net編集部
齊藤 啓介 / Keisuke Saito

配信日時:2024年11月20日 11時45分

時松隆光もシード獲得へ崖っぷち
時松隆光もシード獲得へ崖っぷち (撮影:スエイシナオヨシ)

<カシオワールドオープン 事前情報◇19日◇Kochi黒潮カントリークラブ (高知県)◇7350ヤード・パー72>

国内男子ツアーも残すはあと2試合。今週は、来季の試合出場の切符がかかるラストマッチとなる。

シード獲得へラストマッチ ベテラン達が高知で練習中【写真】

来季のシード権を獲得できるのは賞金ランキング上位65名。JGTOのホームページ等に記載される賞金ランキング表には、義務試合数不足でランキングから除外される桂川有人、香妻陣一朗、中島啓太、スコット・ビンセント(ジンバブエ)が含まれているため、現状では69位(907万3700円)の池田勇太がボーダーラインになる見込みとなっている。

顎偏位症の影響で昨年、14シーズンにわたって守り続けたシードを失った池田は、当落線上もこのままの順位で行けば、シード返り咲きとなる。また、仮にシードを獲得できなかった場合、「生涯獲得賞金上位25位以上」の資格を行使できる選択肢も持ち合わせている。

そして、ボーダーに対し、わずかに届かないのが71位(880万3748円)の市原弘大だ。2018年に賞金ランキング4位に入りシード返り咲きを果たすと、それ以降も60位、55位、52位、43位とシードを守り続けてきた。今季は「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」で14位に入ると、以降は5試合連続で決勝進出。しかし、「フジサンケイクラシック」以降は、8試合中7試合で予選落ちと厳しい時期が続いている。

シード獲得へまさにラストチャンスであるが、この結果は「しょうがないこと」と受け入れている。「あまり飛距離が出ない子が(シード圏外に)集まっちゃっている。稲森選手くらいじゃないかな、飛ばない中でも頑張っているのは。飛距離がそのままランキングに繋がっている」。

自身のドライビングディスタンスは274.30ヤードで全体84位。パワーゲームが支配する男子ゴルフ界で、42歳は若い選手たちの飛距離に押されている。一方で「スポンサーやファンの応援に応えたい」と、失望や諦めではなく、感謝と決意を胸に高知決戦に挑む。

崖っぷちの状況に立たされるのは、同73位(851万9160円)の時松隆光だ。7季連続でシードを維持してきたが、昨年は、賞金ランクは62位とシード当落線上で迎えた自身最終戦の同大会を10位で終えて踏みとどまった。そして今季も同様の状況となっている。直近の「三井住友VISA太平洋マスターズ」、「ダンロップフェニックス」と高額賞金大会で決勝進出を果たすもそれぞれ、52位タイ、63位と思うような結果が残せていない。「バーディが来なくて、ピンチがボギーになる、悪いところが出た」と、苦しい現状を吐露する。

「やれることをやるしかない。そこにシードはくっついてくるので。もちろん、QTも頭にあるので、今週の結果で目標が変わると思う」。昨年は土俵際でシードを手中に収めただけに、今大会もその再現となるか。

そして、光明が差し始めたベテランもいる。 それが賞金ランキング68位(916万222円)の片岡大育だ。 2019年にシードを手放すも、昨年のQTで2位に入り復調の兆しを見せた。

5月の「中日クラウンズ」で20位。以降は予選落ちが続いたものの、8月の「Sansan KBCオーガスタ」の2日目には7年ぶりの単独首位に立ち、最終的には10位タイで終え、約5年9カ月ぶりのトップ10入りとなった。さらに10月の「ACNチャンピオンシップゴルフトーナメント」で6位タイ、2週前の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でも初日に4位タイで滑り出すなど、光るプレーを見せている。

高知出身の片岡は、Kochi黒潮CCは所属コース。 「地元を盛り上げたい気持ちが強い」と語る。片岡は「フェードをちゃんと打てるクラブ調整が上手くいった」とクラブセッティングの見直しからスイングを固め、調子を上げている。 シード返り咲きが現実味を帯びてきたが「上に行かないと取れないと思う」と気を引き締める。

さらに、昨年、2007年から守り続けてきたシードを手放し、今季は生涯獲得賞金25位以内の資格で参戦している小田孔明(98位)や、19年に22年間維持した賞金シードを失った谷口徹(153位)は、今年は『日本プロ』優勝の5年シード最終年と、時代を彩ったベテラン達もまさに崖っぷちだ。

トーナメント優勝者や賞金ランク上位者しか出場できない「日本シリーズJTカップ」を除けば、多くの選手にとって今大会がシーズン最終戦。来季の職場を懸けた最終局面で、熱きドラマが始まる。(文・齊藤啓介)

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