「あのときから正直変わっていないというか、それがすごいですよね」。現在スコットは42歳、石川は31歳だが、当時はスコットが31歳で石川が19歳だった。それから11年の時が経ち、「以前、日本オープンで回ったり、きょうも一緒に回ったけど、やっぱりスイングも変わらず美しい」と目を丸くする。そんな憧れの存在だが「本人のなかでは、この2、3年いろんな打ち方に取り組んで、これをやったけどダメで、あれもダメでという悩みも聞けて、同じ人間なんだなと思いました」と笑う。
そして、石川はスコットのすごさの1つとして「影響力」を挙げる。いまでは金谷拓実や、蝉川など多くの選手が当たり前のように取り入れている『エイムポイント』(グリーン上でカップに対して指を立てて傾斜の度合いを測る方法)は、スコットがいち早く試合で実践して話題となった。「ストロークではなく読みというところに特化して、エイムポイントをやろうとしたところに、先を見る力を感じますし、他の人とは違うんだなと思いますね。実は女子の選手が先に始めたみたいですけど、やはり彼が始めたことで注目を集めた」という。
まだまだ石川の“アダム愛”は止まらない。「もともと人として素晴らしくて大好きで大ファンなんですけど、言っていることとやっていることが同じっていう人はなかなかいないんですよね。理想のことを言っていて、実はできていないことが僕とかでも多いし、けっこうフィーリングでやってしまっている。彼はものすごい感性を持ち合わせていて、なおかつ自分のやっていることが全部コントロールできている。それでいて考えすぎていないとも感じました。だからすごい。感動しかない」と感嘆の声をあげる。
スコットは42歳のという年齢で、トップ30しか出られない8月の米ツアー最終戦「ツアー選手権」にも出場している。出場選手では最年長だった。それは2年半以上にも及ぶスイング改造に取り組み、腰痛の不安も抱えながら戦う石川の希望にもなっている。
「パワーだけとか、若さだけでできるということがほぼない。体だってものすごいハードワークして維持するのが難しいような状態ではないと思うし、すべてのコンディションを含めて5、6年先でも再現できている可能性は高い。いま42歳でもすごいですけど、46、47歳とかでもあの状態っていう…それを考えただけど恐ろしい人だなと思う。