そして、この動きを体に覚え込ませるために、チューブ付きの練習器具を米国から5カ月かけて取り寄せ、9月末の「パナソニックオープン」から使い始めた。これはローリー・マキロイ(北アイルランド)ら海外のトッププロも使用しているという練習器具。最初はこの器具を装着し球を打ってもシャンクや空振りばかりだったというが、徐々に打てるようになり、今ではドライバーまで打てるようになった。自分で変えていこうという体の動きを、この器具によって目指すことができるそうで、本人は「今まで使ってきた練習器具の中でもNO.1」と大満足。これによりショットの感触も徐々によくなり、球筋や飛距離も明らかに良くなっているという。
何歳になってもゴルフへの探究心を忘れない片山。そのモチベーションは何なのかを問うと、意外な答えが返ってきた。
「こういうことがないと、やりたくないのよ。22歳でプロになったけど、プロゴルファーとしてこうなりたいという最高の形はクリアしたと思う。だから、他のことも考えて、違ったゴルフができれば面白いんじゃないかって思ってね。ドラマを見ていても、物理学的な思考と数学的な思考のことを考えることもある。最近では聖書も読んで、何のために生きているのかと考えることもあるし、人生観が変わることもある。そういうことが面白い」
哲学者であり実践の人、片山晋呉。彼の探究心と向上心は年齢を重ねてもとどまるところを知らない。最終日、「優勝」という答えを導き出す片山流の方程式は、一体どのようなものになるのかが気になるところだ。(文・大泉英子)