今や生活の中でなくてはならない物となったスマートフォン。どこに行くにも常に携帯必須のツールだが、ゴルフコースでは時と場合によって他者への迷惑になることもある。そんなスマートフォンについて、四六時中ゴルフ漬けのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が語る。
少し前のことになりますが、今年のマスターズはローリー・マキロイが連覇したことで盛り上がりました。その大会期間中に流れてきたニュースの中の一つが、コアなゴルフファンの間でちょっとした話題になったのです。
1989年の『全英オープン』優勝者で、マスターズにも何度も招待されプレーしたマーク・カルカベッキアが、マスターズが行われていたオーガスタナショナルGCから退場処分となり、今年の開催期間中は出入り禁止になった、というのです。その理由は、コース内で携帯を使用したことでした。
マスターズは、出場選手やキャディのスマホやタブレットの使用は許可していますが、パトロンと呼ばれる観客には一切の通信機器の持ち込みを禁止しているのです(カルカベッキアはパトロンとして観戦していた)。
日本のゴルフファンの間でも、ゴルフでのスマホの取り扱いについては、たびたび議論が盛り上がります。日本でもコンサバティブな名門コースでは、コース内持ち込み禁止、クラブハウス内でも決められたエリア内のみでの使用に制限しています。みんなのための空間を不必要な騒音や話し声で汚さないための工夫であると言われれば、その通りだと納得できます。
その反面、セルフプレーのコースの大半はスマホの持ち込みを奨励しています。カートのトラブルや、事故などがあったときに、スマホを使っての連絡が可能となるため、コース側も迅速に対応できるメリットがあるからです。
昔は、緊急時に無線があるのが普通でしたが、経費削減の嵐の中で、スマホを奨励することで無線は廃止となったのです。
とはいえ、スマホを持ち込めたとしても、マナーモードや機内モードにして、着信音や通話で周りの人に迷惑をかけないように配慮する最低限のマナーは不可欠です。若いゴルファーはスマホで自分のスイングを録画したり、みんなで画像を撮ったり、スマホを自分のゴルフのアイテムの一つにして楽しんでいます。
急激なスコアアップを実現した若者に取材すると、大なり小なりスマホの活用法があったりして感心させられます。今更、それを全て否定してスマホ禁止というのは乱暴な話で、不正解です。
全面禁止しているコースや、スマホを持ち込むのを見ただけで嫌な気持ちになる可能性がある先輩と同じ組のときは、財布と一緒にスマホも貴重品ロッカーに入れてしまうことに決めています。
私の場合、スマホはなければないでプレー中に問題はありませんし、そもそも持ち込めるコースでも機内モードにしてカメラの機能以外は使わないのでストレスにはなりません。
いつも書いていますが、ゴルフコースは日々変化をしていますし、同時に歴史も刻んでいます。歴史を重ねたコースは変わらないことも魅力なのです。その歴史を味わうためには、スマホを我慢することもセットとして考えるべきなのです。
スマホを使いたい人は、スマホ禁止のコースには行かないという決断をすれば良いだけのことです。無理せずに、自分に合ったコースに行く方が、何十倍も健康で幸せな選択です。
選択さえ間違えなければ、ゴルファーにとってスマホは常に味方です。決められたルールの中で楽しむのがゴルフの神髄であることをスマホは教えてくれるのです。(文・篠原嗣典)
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験しゴルフと恋愛のために生きると決意。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」。
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