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シャフトの“精度”がもたらすメリットとは? 三菱ケミカルがこだわる「±1」の意味

5月12日(月)、三菱ケミカルは超精密軽量ブランドの最新モデル『VANQUISH™VV(ヴィヴィ)』を発表した。高性能素材をふんだんに使い、最適な設計で再現性の高いインパクトをもたらすモデルだが、その中でとりわけ強調されているのが“精度”の高さだ。シャフトにおいて“精度”の高さがもたらすものとは何なのか。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年5月12日 16時00分

発表されたばかりの最新モデル『VANQUISH™VV』の先端側にも「PRECISION CRAFTED ±1」がプリントされている
発表されたばかりの最新モデル『VANQUISH™VV』の先端側にも「PRECISION CRAFTED ±1」がプリントされている

シャフト管理の厳格さを示す「±1」という数字の意味

三菱ケミカルがシャフト開発において重視している「±1」という数字がある。これは「PRECISION CRAFTED ±1」というテクノロジーで、製品ごとのバラつきを徹底的に排除し、重量で±1グラム、シャフトの硬さを示す振動数で±1cpmの範囲で製品を管理することを指している。

ゴルフクラブは工業製品である以上、大なり小なり“製品誤差”というものが発生する。一般販売するために大量生産をするとなれば、誤差の範囲が大きくなるのは避けられない。しかもシャフトの場合、同じモデルであっても、さまざまな重量、フレックスのものを用意しなければならず、その中で「±1」というごく小さい誤差の中で製品を厳格に管理するのは非常に困難なことだ。なぜなら、素材となるカーボンシートの選定や製造技術の高さ、検品体制の確立など、クリアしなければならない課題が多いからだ。

しかし、そのほぼ不可能に近い製品の精密な管理をやってのけているのが三菱ケミカルというメーカーだ。最適な材料開発から高精度の成型までを一貫して管理できる世界で唯一のシャフトメーカーだからこそ可能なことで、その製品精度の高さは群を抜いている。

その強みが最も生かされているのが、5月12日に発表されたばかりの最新モデル『VANQUISH™VV』だ。30〜50グラムという開発の難しい重量帯であるにも関わらず、「±1」の高精度を実現しているという。

ここで気になるのが、シャフトの“精度”がゴルファーにどんな恩恵をもたらすのか、ということだ。そこで今回は4plus Fitting Labo & Golf Salonでアマチュアゴルファーの最適なクラブ作りをサポートしているフィッターの吉川仁氏にシャフトの“精度”がもたらすものについて聞いてみた。

どの重量・フレックスでも同じフィーリングになる

工業製品としてのシャフトを圧倒的に高い“精度”で製造・管理できることが三菱ケミカルの強みだが、そこにはどんなメリットがあるのか。

「精度が高いからこそできていることの1つとして、重量やフレックスの豊富なバリエーションが挙げられます。『VANQUISH™VV』を例に取ると、50グラム台でR2からTXまで6つのフレックス、超軽量で設計の難しい30グラム台でもR3からXまで5つのフレックスが用意されています。これは本当にすごいことで、『±1』の精度がなければ実現できません」

一般的にはフレックスを振動数で考えると、例えばRとSRでは5cpmほどの差になる。つまり、製品誤差が「±3cpm」だった場合、軟らかいSRよりも硬いRの方が、振動数が大きいという逆転現象が起きてしまう。しかし、三菱ケミカルは「±1cpm」で振動数を管理しているので、細かくフレックスを分けることが可能になる。

フレックスが細かく設定されていれば、それだけゴルファーそれぞれに最適なスペックのシャフトを提供しやすくなり、フィッティングをする上で大きなメリットになるのだ。

「さらにすごいのが、同じモデルであれば重量やフレックスが変わっても、打ったときに同じフィーリングが得られるように最適な設計がされていることです。シャフトは重量によって、使用できるカーボンシートの量が変わります。それだけに重量ごとにしなり方やフィーリングが変化するシャフトも少なからず存在しますが、三菱ケミカルにはそのズレがありません。また、シャフトのバット、つまり手元部分は重量によって太さが変わるのが一般的ですが、三菱ケミカルの場合、どの重量帯もほとんど同じ太さに作られています。フィッティングで気に入ったモデルが見つかった場合に、フィーリングを変えずに重量やフレックスを合わせることができるのは大きなメリットです。短時間でスムーズに最適なクラブを組み上げることができますから」

重量やフレックスによるフィーリングの差が少なければ、ドライバーの振り感に合わせたフェアウェイウッドの調整もしやすくなる。最適なクラブを作る上で、“精度”の高いシャフトは大きな意味を持っているのだ。

「“精度”という意味で言うと、『VANQUISH』は究極の域ですよ。軽量で狙った性能を出すのは本当に難しいことなんです。30グラム台なんて、使用できるカーボンシートが本当に少ないですから、素材開発や設計のノウハウ、高い製造技術を持つ三菱ケミカルだからこそ作れたシャフトだと思います。ゴルファーそれぞれに合った最適なクラブを作る上で、シャフトの重量や振動数は最も気を配る部分ですし、そこの精度が高いことで、飛距離や方向性など、結果の出るクラブを作りやすくなります」

気持ち良く振り切れて、効率良く飛ばしながら、方向性も高める。そんな最高の結果が出るクラブを作り上げるには、厳格に管理された精密なシャフトが必要不可欠なのだ。もし今より飛ばしたい、曲げたくないと考えるなら、シャフトの“精度”にも着目して、モデルを選んでみてはどうだろうか。


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