メルセデス・ランキング(MR)26位で5シーズン連続17回目のシードを獲得した藤田さいき。11月に40歳の誕生日を迎え、シード選手としては全美貞(韓国)の43歳に次ぐ年長者で、日本勢としては最年長シード選手として2026年も戦う。実は3パットしない女王にもなっていた。
2位が2回と2022年以来の優勝には届かなかったが、40歳になってもドライビングディスタンスは247.77ヤードで15位と衰え知らず。その中で25年シーズンに初めて1位になったスタッツがある。3パット率である。
ツアーの部門別データに3パット率として、「3パットかそれ以上のパット数の率。【(3パット以上の総ホール数÷総ホール数)×100】」がある。藤田は1548ホールを消化して、3パット以上の数は31回。計算式に当てはめた率は2.0026%(約50ホールに1回)で部門1位になった。つまりもっとも3パットする確率が少ない選手である。
3パットといえば、OBや池などのペナルティと並び、スコアメイクする上で最もしたくないことの1つである。練習で技術面の向上などはもちろんあるが、藤田がこの1年徹底したことが1つある。試合によってパターを替えることがあっても総重量を変えなかったことだ。
エースパターはオデッセイの『ホワイトホットOG ロッシー』だが、シーズン中にはエースのロフト違いやテーラーメイドやスコッティキャメロンのモデルもテストしている。ただパターを替えても「すべて533gでした」と総重量は整えていたと話す。
重いグリーンは、パターを重くしてコロがりをよくするという話はよく聞くが、藤田は「振り感を変えずに重いグリーン、速いグリーンに対応したかったんです」という。「パター自体が重くなったり軽くなったりすると、振る感覚も変わってしまうのでコロがったりコロがらなかったりタッチが合いにくい。総重量が同じなら振り感を変えずにヘッドの特性だけでコロがりの違いが出せるんです」。
ロングパットだけでなく、曲がるラインのショートパットも振り感を変えないことで毎回繊細な距離感を出せる。その結果、3パットが少なかったといえる。
最近のパターでは軽めの部類に入る533gに行きついたのは、昨年の秋頃。契約する日本シャフトのレップであり藤田のクラブ調整を行っている石橋良一也氏が、「藤田プロが気持ちよくストロークできて、スムーズな動きに見えました。重くなったパターを打ったら感触が悪そうだったので」と533gに決まったという。
ちなみにシャフトは日本シャフトのパター専用シャフト『N.S.PROパター』のプロトタイプで120g台を使用。イオミックのグリップは65gで下巻きは3枚と徹底する。ヘッド重量は362~363g。重量が合わない場合は取り外し可能なウェイトで調整を行っていた。
藤田の言う通り、パターを替えても振り感が変わらなければタッチが合って3パットをなくせそう。アマチュアにも大いに参考になるが、まずは自分が気持ちよくストロークできる重量を探すことが大切だ。
「パター専用シャフトの『N.S.PROパター』は3つの重量体(120g、140g、160g)があるので、重くしたい、軽くしたいはシャフトだけでも替えられますよ」と藤田は教えてくれた。
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