フィッターの小倉勇人が2025年の秋発売モデルの中でも“激推し”していたのが、HONMA『TW777』シリーズだ。そのシリーズが「初期ロット完売」の絶好調だという。特にスタンダードモデルを中心に「無敵の調節性」を誇る同シリーズ。世界ドラコンで活躍する、契約プロの三隅直人と改めて体感することにした。
HONMA契約後、好調な三隅
発表時にも「売れそう」と話していたが、予感が当たった形となった小倉。今回は、新作『TW777』をまだ導入していない三隅と共に、自身がHONMAにリクエストしていた“魔改造”も試すため、トラックマン東京ショールームで『TW777』の調節性をチェックした。
三隅といえば、昨年のHONMAとの契約後は絶好調で、約500回転も減った低スピン性能と、復元の良いVIZARDシャフトの組み合わせで「ULDワールドロングドライブチャンピオンシップ」で10月に連覇を達成したばかり。そのフレックスはなんと『4R』で、ヘッドは『TW767 PROTOTYPE-LS』で『VIZARD』の先中調子系のプロトタイプを使用中だ。
「ドラコンはとにかく最大距離が全てです。世界のライバルの身体サイズに比べて体が小さい(173cm)自分にとって【一番ヘッドスピードが出せる=軽くて柔らかいシャフト】を数年前から武器にしてきて、それがドラコン界の他の選手にも広がって来ました。柔らかいシャフトは扱いが難しいものですけど、しなり戻りでさらにスピードを稼ぐイメージですね。去年HONMAさんと契約してVIZARDシャフトを使いだしてから、ヘッドのスピン量も低スピンになって勝率もかなり上がっています」(三隅)
軽柔SPECでスピードを稼ぐ
日夜、三隅がトラックマンの数字を1球1球チェックしながら練習する理由は「飛ばすための“正解”が分かるから」。初速・打出と大事な飛びの3要素の中で、最も大切にしている指標は「スピン量」だと言い、最速域の勝負ではなく、『効率の良さ』や『再現性』で世界の舞台で際どい勝負をモノにしてきた。
このように、自身は軽柔スペックでスピードを追求してきたが、市販の純正シャフトではさすがにアンダースペック。HS40m/s前後向けの『TW777 MAX』のノーマル設定だと、アンダースペックで吹け上がってしまい「ロフトが付き過ぎてしまう」のも当然。
そこで、小倉の勧めに応じてウェイト可変の調整機能を試して、トウ側へ重いウェイト可変をすると、スピン量をやや軽減できた。ただ、当たり前だが、さすがに『MAX』はHS60m/sオーバーのドラコン選手にはミスマッチだった。
「TW777」の浅重心化で500回転減
そこで次に、スタンダードモデルの『TW777』をテストすることに。こちらもノーマル設定ではインパクトロフトが増えてスピン量が多過ぎる結果だったが、小倉が20.5gを前にする「浅重心」可変を手渡すと500〜800回転減で20yd近く距離が伸びた。
三隅は「ボール初速がもし5m/s減っても、500回転スピンを減らせる方がトータル距離は伸ばせますね」と話し、これは自身のドラコン大会でも実感している部分だと言う。小倉も「ニュートラル」と話すスタンダードモデルの『TW777』がどうやら次のエース候補となりそうだ。
「VIZARD RED」で350ydに迫る
そのため、ヘッドはそのまま『TW777』の浅重心設定をキープして、小倉はカスタムシャフト『VIZARD BLUE』から、『VIZARD RED』への変更を提案した。三隅が「手元がしっかりな自分のシャフトに動きが似ている」という『VIZARD RED』の浅重心可変では、なんと350y弱を記録。「フィッティングとカスタマイズ(可変調整)の重要性を実感したし、TW777ならもっと上に行けそう」と改めて新作に手応えを掴んだ様子だった。
ミニドラ『360Ti』で299yd
ここで、ミニドラマニアの小倉にとっての本命機種・『TW777 360 Ti』も試してもらう。すると、43.5インチのミニドラだとさすがの三隅も「300yd」ほどの飛距離になった。小倉は、前回の発表時からHONMAに「このヘッドなら45インチ仕様も作ってほしい」とリクエストしており、そのカスタムを試せる機会を得て嬉しそう。
選手交代で、小倉が改めて43.5インチのノーマル仕様を試すと、1球目から265ヤードと強弾道ドローが飛び出した。本来の持ち球はフェードの小倉。45インチの“リクエスト・カスタム”だとフェードしか出ない結果になりがちだったが、最終的に「12gのウェイトを取って軽くしましたが、最長274ydまで持ってこれました!」と安心した様子だった。
改めて三隅とシリーズをチェックしてこう締めくくる。3種類あることでゴルファーそれぞれの「無敵化」が捗る形だ。
「TW777 MAXはやさしくつかまりますし、スタンダードは低スピンで飛ぶし調整幅が広く、ミニドラのTW777 360Tiはミート率抜群でFWキープ最強。もし、近くのお店に残っていたら絶対に可変試打を試すべき。かなり筋・スピン・飛距離が劇的に変わる。3つ個性がある中、無段階のノンローテ可変で少し変えるだけで、球遊べますよ!」(小倉)