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ウェッジの形状を決める研磨作業の現在

text by kazuhiro koyama

配信日時:2016年5月20日 13時00分

手作業で仕上げるウェッジの形状

 ウェッジの“顔”やソール形状が、そのクラブの機能を決める。では、どのようにその形状を作り出しているか、ご存知だろうか。ウェッジやアイアンに限って言えば、おおまかにクラブのかたちをつくる金型があり、その型から作られた金属を手作業で研磨して、形状を整えていくのだ。

 これだけ工業技術が発達していても、ゴルフクラブを作る工程にはかなりの手作業を介している。素材や製法も重要で、そのあたりをカタログでチェックするゴルファーも多いと思うが、最終的にクラブの形状を決めるのは、この研磨作業だ。

 型から出てきたウェッジのもととなる部材は、いわば金属の塊。それを手作業で削りながら、ウェッジの形状に仕上げていくのが研磨作業だ。髪の毛一本分の太さで印象が変わるといわれるゴルフクラブの世界。それを実現するには、大変な技術が必要で、一人前の研磨職人になるには長年の修練が必要と言われている。熟練工が不足しがちな海外の製造工場では、研磨職人の後ろに形状をチェックする人が別で控えていて、形状に不備がないかを確認している。

 こうした研磨職人の中でも、とりわけ名人として有名なのが三浦技研の創業者、三浦勝弘氏だ。これまで世界的な名選手を含む、多くの名手のアイアンやウェッジを研磨してきたという三浦氏だが、最盛期には「自分が300gと思って研磨したウェッジの重さを測って、それが299gだったら、重量計のほうが間違っていると思った」というほど、感覚が鋭敏になっていたという。熟練した研磨職人の凄さを物語るエピソードだ。

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