プロにとっては“飛びすぎ”がリスクになる
ドライバーの場合、糸巻きバラタボールなど、過去のボールは概してバックスピン過多の場合が多かったので、スピン減の効果は大きい。打ち比べてみると、多くの場合、10ヤード以上の飛距離増になり、場合によっては20〜30ヤードアップするケースもある。特にアゲンスト風では圧倒的なアドバンテージがある。
アイアンショットも同様で、より飛距離の出るスピンレスなボールが出やすくなった。ボールのCMで「アゲンストに強くなった」とプロがコメントするのを頻繁に目にするが、それはスピン量が減っているということだ。それ自体は大きなメリットといえるが、プロレベルになると事情は複雑だ。自分が思った距離よりも“飛びすぎてしまう”可能性があるためだ。条件によっては数ヤードの差が出る。これはピンポイントで狙うプロには看過できない問題だ。
日本チームが松山の愛用ボールを選択したのは、チームのエースであり、世界屈指のアイアンショットを武器にする松山のショット力をより活かすという側面もあることは、想像に難くない。ボールが変わることで風の影響が微妙に変わったり、番手によって飛び様が変わったりして、距離感が変わるリスクを避けたのだろう。
プロにとってボールを変えることは、アプローチのフィーリングが変わったり、アイアンの距離が変わったりするリスクを抱えている。慎重になるのは当然だし、それだけにプロ使用球はモデルチェンジの際も大きく性格を変えられない。例えばタイトリスト『PRO V1』は前作を踏襲して“なかなか性格を変えない”ことで定評があるが、それさえもルーク・ドナルドやステイシー・ルイスのように何世代か前のモデルを継続して使用していた選手がいるほどだ。
