――「超高MOIの10K」やプロが使う「ミニドラ」など、我々ゴルファーは海外ブランドの人気作を中心に高い買い物を繰り返してきた。だが、それは本当に振りやすいと言えるだろうか? いや、重すぎやしないか? 悔しい“振り遅れ”や開閉の“戻し遅れ”とオサラバできると噂のフォーティーン『DX』を編集部で調査した――
外ブラにはない“軽さ”に振りやすさ+飛距離を!
フォーティーンと言えば、『ゲロンディ』を代表とする“長尺1Wのパイオニア”としてあまりにも有名。ヘッドスピード(以下、HS)を最大化するために軽量ヘッドを突き詰め、25年以上にもわたって“最速スピード”を追求してきた歴史を持つ。
46インチ以下に規制された現在も、軽めのヘッドで“最速”にこだわり「全ての人に最適な1本を」を掲げ、今作『NEW DX』シリーズは一気に4つのヘッドを用意した。選び方は明快で「インサイド・アウト/アウトサイド・イン」のスイングプレーンと「アッパー/ダウン」の入射角に最適な重心設計の4つから最適を導き出し、形状も投影面積もそれぞれ最適化されている。
編集部の4人が同社の長谷川楓弥氏にフィッティングしてもらうと、特に【編集部S】と【編集部T】が説明通りの結果に。2人とも人気の海外ブランドの重ヘッドだと“右に滑りやすい傾向”のゴルファーだが、見事に改善することができた。
実験は“フィッティングヘッド”に相応しい、最高の施設に協力を依頼。それが最高位弾道計測器『QUAD MAX』を販売するAMPLUSのショールームで、同社独自の「軌道とフェース角を天井から照射する計測器『FOCUS』も絡めて科学的な検証が可能に。まずは、最も多くの人に合う『DX-002』の実例を見てみよう。
インサイド・インでレベル軌道は『DX-002』
イン・トゥ・インでレベル軌道に振る【編集部S】は、“スタンダード”な位置づけの『002』が最も合う結果で、強烈なランも手に入れ「操作性もよく打ちやすい」と唸る結果に。長谷川氏はスイングを見て「重ヘッド ✕ 高MOIは明らかに合わない」と判断し、今作のセオリー通り『DX-002』から推奨し、即ハマった形。
「人気の外ブラの高MOIだとフェース開閉が遅れる自分ですが、『002』に替えた瞬間に快適につかまりましたし、操作性が凄く良かった。HSも45➡47m/sに上がりましたし、ウェイトはノーマル設定だと少しスピン量が多めだったので、途中で12gのウェイトを入れ替えて前を重くしてもらうとスピンを2000回転前後に減らせて飛ばせました。形状もクセがなく、ソールデザインもシンプルで飽きが来なさそうで好みです」(編集部S)
これと対極と言えるゴルファーが、超カット軌道(アウトサイド・イン)でダウンブロー傾向の【編集部T】だった。スイングは編集部Sと真逆でも、海外ブランドの重ヘッドだとフェースが開きがちな点は同じで、それを嫌って手を返す悪癖の持ち主でもある。
アウトサイド・インでダウン軌道は『DX-003』
このクセを見抜いた長谷川氏が推奨したのは『003』だ。投影面積が4モデル中最も大きく、寛容性の高い『003』を打つと【編集部T】の右への曲がりが減り、軽いシャフトとつかまる安心感もあってHS38➡40m/sにアップ。Tは「つかまりよりも大台突破が何より嬉しい」と、恥ずかしそうに笑う。
「かなりのカット軌道でフェース開閉も苦手。しかも、変に手首を返すクセがついたボクでも『003』だと、しっかりつかまる安心感がありました。この心理面も大きいのか、少し軽い『FT-5dG』シャフトを試すとHSが2m/sも速くなって、大台突破できたのが何より嬉しいです」(編集部T)
ややインサイドから捉える筆者もTほどではないが、自慢だった飛距離の衰えにここ1年ほど悩む一人だ。全盛期に程遠い飛距離になると、途端につまらなく感じて練習もしなくなる悪循環に陥っているが、『001』だとラクにHS47m/sが出て俊敏な開閉で振り遅れもゼロに。
インサイド・アウト&アッパーは『DX-001』
長谷川氏は「私もNさん同様、インサイド・アウトかつスピン不足なタイプで『001』で改善するタイプです」と明かし、低弾道でキャリー不足だった筆者に上がりやすさをプラスしてくれた。シリーズ最も小ぶりな『001』を打っていると、十数年の全盛期に430ccヘッドで中・高弾道ドローを打っていた“良い時代の記憶”を思い出し「練習しよう」と再び心に火を灯せた。
長谷川氏は「実は、微調整のために可変スリーブも4種類も用意していまして、シャフトも先が走るアウト・イン系に合う『FT-dG』と、イン・アウト系の先がしっかりで叩ける『FT-dM』の2種類で各40・50・60グラム台から選べます」と説明。今回の取材では四人四様のヘッド選びが趣旨で時間が足りなかったが、お店では選んだヘッドを微調整してベストな飛びを追求できる。
高MOI系のデカヘッドが大の苦手な上級者・【編集部H】も「最近ミニドラばかり」と飛距離を諦めていたが「一発の飛びを『004』で狙える」との推奨通りの結果に。HS42m/s前後で2000回転を切るフェードで260yd超の数字が飛び出し「大型でも振りづらさがなくミニドラ級に曲がらないのも最高」と惚れ込んでいた。
アウトサイド・イン&アッパーは『DX-004』
「元々デカヘッドが苦手で、最近はミニドラしか打たないから大型に戻れなくなっていました。でも、『004』だとシャープに振れて、低スピンで一発の飛びが出せたのはちょっと驚き。ヒールヒットで逃がしながらフェードを打つボクでもHS42m/s強でも260yd以上狙えるのは大きい!」(編集H)
我々ゴルファーは『プロの多くが使う1W』と聞くと影響を受けがちだが、フォーティーンはアマチュアのためのモノづくりが信条。10Kなどで話題の高MOIでも、人気のミニドラでもない、日本人ひとり一人の潜在能力を引き出す“軽快な振り心地”。
さらに十数種のウェイト交換で飛びや安定性を調整して、もう、振り遅れの無限ループとは完全にオサラバしよう。「得意クラブは、ドライバー」と胸を張って言える日が近づくはずだ。
✽フォーティーン(https://www.fourteen.jp/)
✽取材協力/AMPLUS(https://www.amplus.jp/)
✽撮影/山代厚男