顔の良さと飛びを両立した最新シリーズ
つるやゴルフは2025年秋から新シリーズ『GOLDENPRIX TR-02』シリーズの発売をスタートしている。
『GOLDENPRIX』は上達志向の強い真剣なゴルファーに向けたクラブを開発しているブランド。これまでシンプルな外観、心地良いフィーリング、トータル性能の高いクラブを世に送り出してきた。最新シリーズの『TR-02』では、つるやゴルフが独自に培ってきたテクノロジーを惜しげなく投入することで“やさしい飛び”にこだわっていると言う。
中でも注目なのは、今までにない革新的な構造で作り上げた「パワーレイヤーカーボンフェース」を搭載したドライバーだ。
一般的なカーボンフェースは、カーボン素材だけを使用し、シートを何重にも重ね合わせて成型する。つるやゴルフではインパクト時のたわみを重視したカーボンフェースを開発してきたが、薄く設計する分、耐久性が下がる傾向にあり、使用できるヘッドスピードに制限があった。
そんなたわむカーボンフェースの欠点を解消したのが、カーボンの層の中に“秘密の素材”「パワーレイヤー」を挟み込む新設計だ。『TR-02』シリーズのドライバーに採用された「パワーレイヤーカーボンフェース」は厚肉化によって耐久性を高めながら、大きなたわみによる高い反発力を実現している。
では、革新的な新構造を採用した「パワーレイヤーカーボンフェース」の飛びとは、どれほどのものなのか。今回は“令和の試打職人”石井良介に試打を依頼。『TR-02』シリーズのドライバーからFW、UT、アイアンまで性能をチェックしてもらった。
思い切り叩いても曲がらない! 『TR-02』のドライバーは美しい顔で圧倒的な弾き
石井はまず「パワーレイヤーカーボンフェース」を搭載した『TR-02』のドライバーから試打をスタート。今作では高慣性モーメントタイプの『460MAX』と操作性を重視した設計の『450LS』の2モデルがラインナップされている。
「どちらもクラウンのマットな仕上げが特徴的ですね。フェース上部に白いラインが入っていて、フェースをターゲットにセットしやすくなっています。特性の異なる『460MAX』と『450LS』ですが、構えたときの顔は非常に似ていて、いずれも安心感のある美顔に仕上げられています」(石井)
『460MAX』を手に試打を始めた石井は、そのフィーリングに驚きの表情を見せた。
「弾きのある打感で、それでいて金属ほど打音が大きくないので、非常に心地良いフィーリングですね。フェースに乗る感覚が強く、ボール初速もしっかり出ています。カーボンフェースはいくつかのメーカーが採用していますが、『TR-02』は特に弾きが強く感じます」(石井)
「スピンはけっこう少ないですね。上ではなく、強い球で前に前に伸びてくれます。吹け上がることなく安定した飛距離が出ますし、余分なサイドスピンも入らないので、ミスしても曲がりが小さく抑えられます。驚きだったのはボールがつかまり過ぎて、引っかけたときです。通常はスピンが減り過ぎてドロップ気味の弾道になりますが、『460MAX』は曲がりが小さくなるだけでなく、適度なスピン量でキャリーのロスも小さく抑えられていました」(石井)
「パワーレイヤーカーボンフェース」は内部だけでなく、表面処理にも工夫がある。特殊な塗装を行うことで、表面をざらざらさせて摩擦力を高めているのだ。「FRICTION COATING」と呼ばれるテクノロジーだが、インパクトでボールがフェースに乗る時間を長くすることで、スピンを抑える効果がある。
続いて『450LS』を試打した石井。まず注目したのはウェイト位置の違いだ。
「『460MAX』はヘッド外周にスライドウェイトがありましたが、『450LS』は前後にウェイトを動かすことができます。スピン量を調整することができ、弾道の強さが変わってきますね。通常ポジションでは『460MAX』よりスピンが減るものの、少なくなり過ぎることもありませんので、安定した強い球で飛ばすことができました」
「『TR-02』の2つのドライバーは顔が似ていて、構えたときにはそこまで違いを感じません。しかし、『450LS』はややコンパクトな分、振りやすさがあり、使い込むうちにどんどんヘッドスピードが上がります。弾きの強さもありますし、アグレッシブに自分で叩いて飛ばしたい人に最適なモデルと言えるでしょう。一方で、芯の広さや弾道安定性など、クラブに助けてほしい人は『460MAX』がおすすめです。ぜひ2つのドライバーを打ち比べて、自分に合うものを見つけてほしいですね」(石井)
アイアンは精密な番手別設計でソフトな打感と最適弾道を追求
ドライバーに続いて、『TR-02 アイアン』のテストを始めた石井。
『TR-02 アイアン』はスッキリした形状に仕上げながら、グループごとに素材や構造を変えることで、番手別の最適弾道、飛距離を追求している。48度〜56度のウェッジはソフトステンレスの1ピース構造で、操作性と抜けの良さを重視。一方、8I〜PWはマレージングフェースの中空構造を採用し、周辺重量配分による高MOI化で再現性の高いショットが打ちやすくなっている。
そして従来モデルから最も進化を遂げたのが今回試打に使用した7I以上の番手だ。つるやゴルフ独自の「Uカップフェース」を採用して反発力をアップ。「インナーブリッジ構造」で低重心化することで高い打ち出しと下めヒットへの強さを出している。高初速・高打ち出しの圧倒的な飛びが得られるアイアンに仕上がっているのだ。
「見た目はすごくオーソドックスで、変なクセがないので、すごく構えやすいですね。中空構造ですが、打感がすごく良いですし、何より楽に高さが出ます。特にフェース下めに当たったときでも高さやスピン量が安定して、初速のロスが小さく抑えられます。クラブがすごく助けてくれますよ」(石井)
「アイアンは番手別に作ってくれなきゃ困ると考えています。シンプルな1枚板のアイアンだとロフトによって重心の深さが変わるので、同じ振り方で番手ごとに最適な弾道を出すのが難しいからです。『TR-02 アイアン』はロングアイアン、ミドルアイアン、ショートアイアンとグループごとに設計を変えています。ゴルファーにとって心強い武器になるはずですよ」(石井)
FWとUTは丸みのあるソールでどんなライでも高弾道
『TW-02』シリーズでは、カーボンクラウンと厚肉ソールの採用で低重心化を図ったFWとUTもラインナップ。フェースには高強度素材「X37」を使った「マレージング一体カップフェース」を採用し、高い打ち出しでキャリーが伸びるクラブに仕上がっている。
「FWは弾きが強く、フェースに乗る感じもあるので、ボールを打ち抜いたときの感触が気持ちいいです。ライナー系の強い球ですが、打ち出しが高いのでキャリーを稼ぐことができます。一方、UTはかなりソフトな打感で、弾きよりもコントロール性を重視した設計になっています。アイアンに近いフィーリングで、高くグリーンに止まる球が打ちやすくなっていました。共通するのはソールの丸みですね。摩擦が少なく、抵抗なくツルンと抜けてくれます」
『TR-02』シリーズのクラブは、カテゴリごとに最適なテクノロジーを採用することで、圧倒的な飛距離と寛容性を両立している。顔はあくまでシャープに構えやすく、打ち出す弾道が明確にイメージできる。上達志向の強いゴルファーを満足させる性能を持ちながら、コースではスコアアップの大きな武器になるシリーズであることは間違いなさそうだ。
取材協力/ハンズゴルフクラブ山下公園 撮影/田中宏幸 構成/田辺直喜