だが、それでもカークは、ゆったりとしたスイングテンポを変えず、プレーペースも歩く速さも変えず、表情一つ変えることなく、自分のゴルフを貫き続けた。
17番の第2打をピン60センチにつけたカークは、バーディを奪ってトータル29アンダー・単独首位に再浮上した。ティーガラに1打差で迎えた18番(パー5)は、相棒キャディと「パーでいい」と言い合って、レイアップ作戦をきっちり遂行。通算6勝目を挙げて喜びの笑顔を輝かせた。
振り返れば、カークがどん底からの復活を果たしたのは昨春の「ザ・ホンダ・クラシック」だった。彼はそれ以前にも通算4勝を挙げていた。2014年にはフェデックスカップ年間王者のタイトルにリーチをかけた。だが、「ツアー選手権」ではビリー・ホーシェル(米国)にタイトルを奪われ、2015年を最後に勝利からも遠ざかり、2019年ごろからはアルコール依存症に陥って、ツアーを休みがちになった。
「ゴルフクラブをまったく握らない日々が3カ月以上も続いた」というカークだが、必死に禁酒に努めた彼の努力とPGAツアーの公証制度に助けられ、なんとか戦線復帰。そして、昨年のザ・ホンダ・クラシックで7年9カ月ぶりの復活優勝を挙げ、肩を震わせながら号泣した。
昨秋、PGAツアーのジェイ・モナハン会長から「PGAツアー・カレッジ(勇気)アワード」を授けられ、愛妻と3人の子どもたちに、その賞をサプライズで披露した。
「どん底でも僕を支えてくれたワイフとキッズには、どんなに感謝しても感謝しきれない」
