そんな大混戦、大混乱を傍目に、松山は6バーディで着々とスコアを伸ばし、ボギーは1つも叩かなかった。
とはいえ、危うい場面がなかったわけではない。5番ではティショットが右に出て、木に当たり、下方へ落ちた。だが、そこからピン4メートルほどへ付けてバーディーを奪うと、続く6番でもラフからピンそばへピタリと付けてバーディ獲得。運にも恵まれていたが、松山自身の『絶対にリカバリーするぞ』という気概と執念も、そこにはあった。
後半はチャンスをなかなか決めきれず、最終ホールの18番でもバーディパットはぎりぎりカップに届かなかった。だが、この日の松山は大きなミスはひとつもおかさず、ビッグトラブルには一度も陥らなかった。
虎視眈々とメダルを狙い、“痛恨”“意外”を完全に封じ込めた静かな戦いぶりが、松山に悲願の五輪メダルをもたらしたのではないだろうか。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
