<アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権 事前情報◇28日◇テ・アライリンクス・サウスコース(ニュージーランド)◇6842ヤード・パー71>
アジア太平洋地域No.1アマチュアを決める「アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権」に日本勢は7人が出場する。優勝という名誉に加え、覇者には翌年の「マスターズ」と「全英オープン」の出場権が与えられる。それぞれ異なる思いを胸に、ニュージーランドの地でアジアの頂点を目指す。
隅内雅人(日大4年)にとって、今年は4度目にして最後のアジアアマと位置づける。過去にはトップ5入りも経験しているが、今回は「正直、出られると思っていなかった」と話す。
半年前、隅内はアプローチのイップスに苦しんでいた。グリーンを外した後、わずか10ヤードほどの距離からでも寄せられないことがあったという。
「調子がいい悪いと言っていられない。もういい意味で失うものは何もないので、キャディと相談しながら、うまく考えてプレーしたいです」。出場が決まったのは9月ごろ。最後の挑戦を前に、気持ちを新たにしている。
まだ完全にイップスを克服したわけではないが、海外の芝は日本とは違い、ボールが地面に収まるため、打ちやすさを感じている。「ちょっとダフっても前に跳ねてくれる」と話し、チャックリへの恐怖心も和らぐという。最後のアジアアマで納得のいくプレーを見せ、来年につながる手応えをつかみたい。
昨年の「日本アマチュアゴルフ選手権」を制した佐藤快斗(東北福祉大3年)も、優勝を目指してニュージーランドに乗り込んだ。昨年はトータル15アンダーでアマチュア日本一に輝き、最終日には今大会に出場する長﨑大星の猛追を振り切った。国内で結果を残してきた一方、アジアアマでは思うように実力を発揮できずにいる。
今大会は3度目の出場。初出場となった2023年大会の舞台はロイヤル・メルボルンGC(オーストラリア)だった。6月には英国で開催された「全英アマチュア選手権」にも出場し、リンクス特有の風やコースへの対応を経験してきた。
「風が難しいですし、フェアウェイとグリーンの境目もあまりない。落としどころや、ボールがどう跳ねるかも大事になってくると思います」
以前は左からの横風に苦戦し、右にミスすることが多かったという。今回は風に対して左を向き、真っすぐ打ち出す練習にも取り組んできた。海外での経験を重ね、初出場のころよりも自信はついてきた。それでも、本人は現状の調子を「そんなに良くはない」と冷静に見つめる。
「今年こそは優勝したいです。これまで出場してきて、自分の力を出し切れていないところがあったので」。日本アマで頂点に立った実力を、今度は世界につながる舞台で発揮できるか。来年は大学最終学年を迎えるだけに、佐藤にとっても大きな挑戦となる。
そして、初めてアジアアマに挑むのが、矢田賢司(和歌山市立有功中3年)だ。15歳の中学生は、母と兄とともにマレーシアで生活しながらゴルフに取り組んでいる。平日の放課後にもコースでプレーできる環境があり、日本にいたころとは異なる経験を積んできた。父にスイングを見てもらい、以前は動画を撮って毎日のように送っていたという。
今回が、これほど大きな国際大会に出場する初めての機会。出場が決まった喜びとともに、慣れない舞台への緊張もある。「すごい緊張感があるので、雰囲気も全部慣れないです。出場が決まったときはうれしかったですけど、自分が出ていいのかな、という気持ちもありました」。
優勝すればマスターズと全英オープンに出場できるが、今は「そこまで考えてない」と話し、まずは自分の力を出し切ることが目標だ。飛距離では周囲に及ばないと感じているものの、自身の強みは「曲がらないところ」。持ち味の正確性を生かし、バーディチャンスを作っていきたい。
これまで松山英樹(2010・2011年)、金谷拓実(2018年)、中島啓太(2021年)がタイトルを獲得し、メジャーへの扉をこじ開けてきた。それぞれが異なる思いを胸に、ニュージーランドで熱き戦いを繰り広げる。(文・齊藤啓介)
