＜JLPGA 最終プロテスト 初日◇31日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)◇6419ヤード・パー72＞
175センチのスラリと伸びた身長で、コースでもひと際存在感を発揮しているのが、今年初めてのプロテストに臨んでいる高校3年生の桑村美穂（日本ウェルネス高）。初日を3アンダー・11位タイで滑り出し、20位タイまでに設定される合格圏内で初日を終えた。
「きょうはショットがほとんど乗っていったのでバーディチャンスが多かった」と、終始安定した一日。ただ、「入らないのもかなりありました」と、本人としては2日目以降に向け、もう少し伸ばしたかったというのも本音だ。それでもピンチをアプローチ、パターでしっかりしのぎボギーを1つに抑えたことなど、地に足をつけプレーできたことには納得の表情も浮かべる。
埼玉県出身だが、中学時代などは千葉県で過ごした。蘇我中卒業間近には、ジャンボこと尾崎将司が主宰するアカデミーのセレクションを受け合格。高校1年から師匠のもとプロを目指してきた。「今は技術面よりも、いつも平常心でやることや、あとはシーズン中でもトレーニングはしっかりやりなさい、ということを言われています」。その教えに従い、試合期間中でも合間を見つけてはジムに駆け込んで、体を作ることに余念がない。
練習拠点となる通称ジャンボ邸は、高校生にとって“刺激的”な場所だ。周りを見回すと、原英莉花や西郷真央、佐久間朱莉といった、現在のツアーで第一線にいる選手が汗を流している姿を見かける。「たくさん話すわけではないですが、いつも練習を黙々とやっていって、『自分も見習わないといけない』と思いますね。先輩の存在はすごい」。練習に身が入らない時も、そういった姿を見て、熱量を感じれば「自分もやらないとな」という思いが自然とこみ上げてくる。この話からは、新たな選手を次々と輩出するジャンボ軍団が“好循環”している理由の一端もうかがえる。
そして、これまでの成果をフルに発揮したいのが、今回のプロテストだ。三重県で7月に行われた1次予選を2位で突破すると、茨城県で受けた10月の2次は、2位に4打差をつけるトップとなりこの最終にコマを進めてきた。「（プロテストで）ずっと安定したゴルフができていたので、今回も同じようにやろうと心がけて、それができてよかったです」。初々しい言葉のなかに、しっかりと自信ものぞかせる。
もちろん、まだ初日が終わっただけというのは重々承知。「アンダーを出そうというよりは目の前の一打一打に集中して、その結果アンダーならいいですね。悪くても集中して、諦めないで頑張りたい」。身長は173センチの原を2センチ上回っており、スケールの大きいゴルフにも期待したいところ。これまで受けてきた厳しくも愛のある師匠のアドバイスを胸に、先輩たちと肩を並べられるようまずは合格を目指していく。（文・間宮輝憲）
