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「ソルハイムカップは米国VSヨーロッパだけど…」“8カ国”の女子国別対抗戦の魅力と意義

女子ゴルフの国別対抗戦はタイの優勝に終わった。団体戦、マッチプレー、その魅力と意義は?

所属 ALBA Net編集部
笠井 あかり / Akari Kasai

配信日時:2023年5月9日 11時15分

国別対抗戦のますますの盛り上がりに期待
国別対抗戦のますますの盛り上がりに期待 (撮影:南しずか)

<ハンファ・ライフプラス インターナショナル・クラウン 最終日◇7日◇TPCハーディングパーク(米カリフォルニア州)◇6550ヤード・パー72>

女子ゴルフの国別対抗戦が5年ぶりに開催された。4人によるチーム戦、そしてマッチプレー戦は、「ライダーカップ」や「ソルハイムカップ」、あるいは他大会とはやや異なるフォーマットで行われたトーナメントだった。

男子のライダーカップ、女子のソルハイムカップはともに米国VS欧州。男子ではライダーカップの開催されない年に「プレジデンツカップ」が開かれるが、これは米国VS欧州以外の国のインターナショナルチーム。さまざまな国の選手が集まってひとつのチームとなり、アメリカと戦うものだ。

2013年1月28日、LPGAはソルハイムカップに続く2つ目の女子団体戦として今大会の開催を発表した。当時コミッショナーを務めていたマイク・ワン氏は「LPGAは毎週のように素晴らしい選手を祝福している。今回は初めて、国対国で世界一を競う大会。インターナショナルクラウンは女子ゴルフを次のステージに引き上げ、ファンがそれぞれの母国を応援することができるようになる。“王冠”を持ち帰るほど素晴らしいことはない」と期待を寄せていた。

14年に米国で第1回大会が開かれスペインが優勝。第2回大会(16年)は米国が自国開催で勝利を飾った。そして第3回大会(18年)は韓国で行われて、その韓国がクラウンを戴冠。2年に一度とされていたこのイベントは、20年はイギリスで開催される予定だったが、コロナ禍の影響により中止。そしてハンファがタイトルスポンサーとして入り、今年復活を遂げた。

五輪さながら、各選手が自国の国旗をウェアに背負って戦うのが特徴。ギャラリーも応援する国の旗を振って、声援を送る。だが、五輪と違うのは“チーム戦”であること。五輪では個人競技だが、今回は4人がひとつのチームとなって争いが繰り広げられた。

第1回大会から出場している米国のレクシー・トンプソンは「正直なところ、国を代表できるこの機会に、ただただ感謝している」と話、「ソルハイムカップは米国VSヨーロッパだけど、インターナショナルクラウンができて、8カ国が自国やチームを代表できるようになった。ゴルフは個人競技で、このような機会を得ることはあまりないから」と語る。

世界ランキング1位として米国チームをけん引したネリー・コルダも「国のためにプレーすることはおそらく最大の名誉、国を代表してメダルを獲得できたことは本当にうれしい」と3位に入ったことをよろこぶが、「素晴らしい仲間と一緒にできたこともとてもよかった」と付け加える。東京五輪で金メダルを獲得したネリーは、仲間とともに手にしたブロンズメダルにも笑顔だった。

日本からは畑岡奈紗、古江彩佳、笹生優花、渋野日向子が出場。前回大会を唯一経験していた畑岡は、「LPGAを応援してくださっているファンの皆さんもチーム戦を見るというのはなかなかないと思いますし、ましてや国別対抗というのはすごく燃える大会でもあると思う」と開幕前に語った。古江はアマチュア時代以来、笹生と渋野にとっては初めての日本代表で、渋野は「日の丸を背負うのが初めてなので楽しみな気持ちもある」とより気を引き締めながらも、自身初のチーム戦、マッチプレーに全力を尽くした。

結果は予選プールで5敗1分と勝利ナシで、予選敗退に終わった。「悔しい」という言葉を率直に口にして「2年後にリベンジしたい」と話した日本チームだったが、4人がそろいのユニホームを身にまとい横一列に並ぶ姿は、普段は見ることができないもの。袖につけられた日の丸は誇らしげに輝きを放った。競技中は声を掛け合いながらプレーし、隣のホールにいるペアとすれ違うときには手を振りながらコンタクトをとる。ゴルフという個人競技ではなかなか見られない光景があふれた。

優勝したタイのパティ・タナタバキトは「この大会で優勝できたことは、タイのゴルフにとって大きなこと。10年前に私たちが感じた以上にタイは成長している。タイのゴルフの未来が本当に楽しみ」と優勝会見で語った。欧州女子ツアーを主戦場とするイングランドのリズ・ヤングは選手欠員の影響で急きょ参戦。「プロとしてイングランドを代表する選手になれたことはとても素晴らしい、初めての経験。たくさんの希望を与えてくれた」と笑顔で母国に戻った。

国対国で争う4人一組のチーム戦。ゴルフは個人競技というイメージが強いなか、新たな魅力を感じることができる大会として、今後も成長していく。

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