<アラムコ選手権 3日目◇4日◇シャドウクリークGC(ネバダ州)◇6765ヤード・パー72>
初日に「67」をマークして首位発進を決めた山下美夢有が、スコアが伸び悩む展開のなかでも上位をキープした。4位から出たこの日は、アンダーパーで回った選手が8人にとどまる難コンディションの中、4バーディ・3ボギーの「71」。首位と4打差のトータル3アンダー・3位タイに順位を上げた。
アウトからスタートし、6番から2連続バーディを奪取。2つスコアを伸ばして後半に向かったが、11番、13番、15番で3つスコアを落とした。それでも終盤に粘りを見せる。
後半16番で2メートルのバーディパットを沈めると、17番では奥のラフから約15ヤードの難しい下りアプローチを2メートルに寄せ、これを沈めてパーセーブ。最終18番パー5では、池越えの2打目をグリーン奥のバンカーに入れながらも、下りのラインを2メートルに寄せて1パットのバーディ締めとした。
「絶対に(グリーンは)止まらないですし、ピンを狙ってはいけないと思っていたので、バンカーはオッケーというマネジメントでした」。池のすぐ先に切られた手前ピンに対して、狙い通りの攻めでスコアを伸ばしフィニッシュ。練習ラウンドから想定していた展開が、そのまま結果につながった。
上がり3ホールでは、「近いからといって入るとも限らない」という2メートル前後のシビアなパットを決め切り、確かな手応えもつかんだ。「きょうはすごくいい流れでプレーできたと思います」と振り返るように、難コースでアンダーパーにまとめた内容には納得感がにじむ。
その背景にあるのが“淡々とプレーする”という意識だ。舞台となるコースは砂漠地帯の中に造られた林間コースで、乾燥の影響からフェアウェイやグリーンは硬く、ボールはよく弾んで転がる。アップダウンやドッグレッグ、狭いフェアウェイに加えて風も影響し、クリークや池、バンカーが随所に配置されるプレッシャーの強い設計となっている。
「もちろん淡々とプレーするのは難しい。でも、“これはこうでこうで…”って考えすぎてしまうと、思っているのと違うことが多かったりもする。なので“ひとつ決めたことをやるだけ”みたいな感じでやるほうがいいのかなと思っています」。複雑な状況の中でも、シンプルな思考でプレーすることを心がけている。
山下は練習の虫として知られ、練習日には朝7時から夕方6時まで打ち込むこともあるが、今大会の2日目以降は午後の遅いスタートが続き、調整時間は限られている。「修正もしたいですけど、スイングにとらわれずにプレーができているので、それがいい部分もあるのかなと思います」と前向きに捉える。
攻略のカギとして挙げるのは、スイングよりも「番手選び」だ。傾斜の強いグリーンと風の影響を受ける中で、タテ距離の精度とクラブ選択が結果を大きく左右する。「(スイングの)細かいところは修正しないといけないんですけど、あまり深く考えすぎない方が、まだいいかなと思っています」と、割り切りも今週の好調を支えている。
この日は元世界ランキング1位で、現在同2位のネリー・コルダ(米国)とのペアリング。ラウンド中には会話を交わし、「日本食の話」などで交流する場面もあった。「いいプレーをしていましたし、飛距離も出る。スピンコントロールもすごく上手で、いいリズムで回れたと思います」と、世界トップの技術から刺激も受けた。
日本ツアーで2度の年間女王に輝き、昨季は米ツアーでもルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた実力者が、昨年の「AIG女子オープン」以来となる優勝を狙う。「このコースは本当に何があるかわからないので、一打一打に集中して自分のプレーをやるだけ。その中でチャンスを作れるようなゴルフができるように、最終日は頑張りたい」。首位と4打差。逆転へ向けた最終日の戦いに注目が集まる。(文・高木彩音)

