「ティがあそこ(前)になったのが分かった時点で『ドライバー打ちます』ってコーチに言いました。迷いはなかったです。順位に関係なく、たぶん、トップであろうと絶対にドライバーを持っていたと思います。そこでドライバーを持たなかったら悔いが残るなと思いました」
ここでキャディを務めた青木翔コーチが振り返る。「彼女の顔を見た瞬間に『狙っているな』と思いました。行かせようと決めました」。少しでも曲げればペナルティエリアに吸い込まれる状況。「ドライバーは飛んでいたので、しっかり振れば届くと思っていました。ピン方向を狙ったら。自分が思っていた以上に右に出ましたけど、あれは大きかったです」。
グリーン右手前に落ちた球は、わずかな花道を駆け上がり見事にグリーンオン。約10メートルのイーグルチャンスを残した。これは外すもバーディ、続く13番でも会心のドライバーでフェアウェイをヒットすると、2打目を2.5メートルにつけバーディ。首位に並ぶと、15番でもバーディを奪い、最終18番でも完ぺきな260ヤードドライブでフェアウェイセンター。チャンスをつくり出し、勝利をたぐり寄せるパットをねじ込んで、衝撃のラウンドを締めくくった。
12番を含め、終盤に4バーディ。ボギーなど出ようはずがない、完ぺきな流れを演出したのは、やはりあのワンオンを決めた一打。ギアをトップに入れかえ、鋭い目つきで強振したドライバー『PING G410 PLUS』が、まるで日本刀のような輝きを放った。


