それも堀江氏の『どうせ田舎のレストランなんていいものがないし、僕が作りますから、ホテルじゃなくてヴィラ（一軒家）にしましょうよ』という提案からだった。堀江氏はキャディ業務に加え、“チーム田村”のコックも務める。ちなみに、田村の家族と堀江氏の面識はない。「就職先が決まっている」という息子の有康さんにしてみたら、コース内でもコース外でも勉強になる一週間になるのは間違いない。

そもそも田村と堀江氏が仲良くなったのは、昨年10月の「日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ」から。その試合で堀江氏は、日大ゴルフ部出身で経営者として芸能界にも広い顔を持つ米倉和良のキャディを務めた。最終日に田村と米倉が同じ組で回ったことで、堀江氏と田村は意気投合。ゴルフ好きのビジネス界の異端児と、49歳でプロ転向したゴルフ界の異端児の付き合いが始まった。

「全米シニアオープンに出るのは最初で最後でしょう」という田村。目標については控えめで「予選通過したいけど、難しいとは思っています。距離もレベルも違うし、日本とは芝も違う」と弱気なのだ。自分が成績を出すことよりも「今後の人生の糧になればいい。行っていれば、あとから行こうとする人に話ができるかもしれない」と考えている。試合が終わったあとは、家族でニューヨーク観光を楽しむつもりだ。

「最高峰の世界を死ぬ前に一回見て、死ぬときに行って良かったと思えればいい」と語る夢舞台。先週は茨城県で行われた「スターツシニア」に出場して14位タイ。出場者全員が出席する日曜日の表彰式には丁重に断りを入れて準備し、慌ただしく翌月曜日に渡米した。「勢いで行くしかない。逆に準備して行ったからって、いい準備ができるとも思わないし、しょうがないですよね。出させてもらえるだけでもありがたい」と体にむち打って日米連戦に臨む。

実は広島県に住む田村には、中国放送（RCC）でアナウンサーを務める25歳の娘がいる。田村友里（ゆり）アナウンサーだ。先週火曜日に放送されたTBS系の朝の番組「THE TIME,」の列島中継リポーターでは、サプライズ共演を果たした。

「呉の冷麺屋さんでの生中継に、僕がいきなり行って驚かせる企画でした。娘は知らずにね」。広島では元気のあるキャラで人気の友里アナウンサー。全米シニアオープンで活躍すれば、再び親子共演があるかもしれない。