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戸張捷氏に聞いたアウト・イン“ひっくり返し”作戦のワケ 「従来通りが一番進歩しない」

今年の「フジサンケイクラシック」は名門・富士桜カントリー倶楽部のアウトとインをひっくり返して開催。ゼネラルプロデューサーの戸張捷氏にその理由を聞いた。

所属 ALBA Net編集部
高木 彩音 / Ayane Takagi

配信日時:2023年8月31日 11時30分

昨年は7番だった16番パー3。きょうは一番奥のティイングエリアが使われているが、最終日はテレビのやぐらがあるレディスティとなる
昨年は7番だった16番パー3。きょうは一番奥のティイングエリアが使われているが、最終日はテレビのやぐらがあるレディスティとなる (撮影:ALBA)

<フジサンケイクラシック 初日◇31日◇富士桜カントリー倶楽部(山梨県)◇7424ヤード・パー70>
 
国内男子ツアー「フジサンケイクラシック」が山梨県の名門コースである富士桜カントリー倶楽部にて、今日から4日間の日程で行われる。今年はゼネラルプロデューサーを務める戸張捷氏の提案で、アウトコースとインコースをひっくり返しての開催となる。

注目の16番ティには180度カメラがズラリ【写真】

ゴルフ中継は後半のインコース、残り6ホールあたりを映している時間が長い。必然的に反対のアウトコースが映るチャンスは少ない。戸張氏には「一度、フジサンケイクラシックが行われる富士桜カントリー倶楽部というのは、どういうホールが1番からあって、どのようにつながっているのかを見てほしかった」という思いがあった。
 
ひっくり返したことで、これまで1番だったホールが10番となる。選手たちは「あまり違和感ないです。とにかくコースが難しい」という声が多かった。
 
そのなかで“注目ホール”として戸張氏が挙げるのは16番(昨年は7番)パー3。グリーンは縦長のひょうたん型に近く、グリーン手前から左サイドにかけて池が伸びる。そして右サイドにはバンカー。手前側は傾斜があり軽い砲台になっている。どのピン位置でもティショット時には大きなプレッシャーがかかるホールに仕上がっている。
 
そんな難関パー3のヤーデージを見ると、『210/113』となっている。「実は3日間は後ろ(210ヤード)で打たせて、最終日だけ前(113ヤード)で打たせる」。4日間で“距離のある難しさ”と“距離のない難しさ”を伝えられるホールになっている。
 
113ヤードなら簡単では?と思うかもしれないが「今のプロはスピンコントロールがすごく上手い。ただ、ウェッジを振り抜いて真上から落とすだけではなく、スピンをかけずに打つショットはどうなのか」と戸張氏。最終日は池のすぐ上の左端にピンが切られることが予想され、ウェッジで普通にピンに打てば、スピンがかかりすぎて池に転がり落ちる。スピンをかけすぎずに距離感を出していく技術が試されるのだ。
 
最近ではティの位置が大きく前後に動かされるのは珍しくなくなったが、ツアーで実施したのは戸張氏が最初。「毎日ピンの位置が変わるのに、ティの位置が変わらないのは変。せっかくいっぱいティがあるから、(日によって)セカンドで持つクラブが替わったほうが面白いと思う。そういうことをフジサンケイではしたかった」と話す。
 
「従来通りというのが一番進歩しない」と戸張氏。だからこそ毎年チャレンジしており、ゴルフ場の協力があるからこそ、“戸張スタイル”が実現できている。「僕みたいな仕事はコースとどれだけいい関係を築けるか。そのコースのグリーンキーパーとどれだけ仲良くなれるか。無理をお願いしてやってもらうので」と、感謝の気持ちを表す。
 
優勝争いが佳境を迎える後半残り3ホールでどのようなドラマが生まれるのか。もしかしたら、16番が天国と地獄の分かれ道になるかもしれない。(文・高木彩音)

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