白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■KKT杯バンテリンレディス(4月18~21日、熊本県・熊本空港カントリークラブ、優勝:佐久間朱莉)
2025年の女子ツアーを語るうえで、佐久間朱莉の初優勝は欠かせない出来事だった。ツアー123試合目で待望の初タイトル。それは5メートル、6メートル、5メートル――驚異的なパーセーブの連発によって切り開かれた。
迎えた運命の最終日。首位と1打差の2位から出て前半で4つ伸ばし単独首位へ。その後のバックナインはピンチの連続だったが、ここで見せたのが“神セーブ”だ。13番(5メートル)、14番(6メートル)、17番(5メートル)でパーをセーブする神がかり的な粘りを披露した。
最終18番は20センチのパーパット。リードは2打。すべてを乗り越えた22歳は、ついに両腕を突き上げて歓喜を爆発させた。プロテストをトップ合格し、ステップで勝ち、22年にはMR33位でシード獲得、23年はMR8位までジャンプアップ。着実に積み重ねてきた歩みの中で、ただ一つ欠けていたのがレギュラーツアーでの“勝利”だった。
「くらいつかないといけない。でも、(外しても)別に死ぬわけではない」。
この言葉どおり、佐久間は恐れを手放し、最後まで自分を信じて振り抜いた。前週、ローリー・マキロイ(北アイルランド)が「マスターズ」で悲願のキャリアグランドスラムを達成し、「夢はかなう」と語った。その姿を見て涙した佐久間は、その思いを持ち続けて戦った3日間だった。
「1つ勝つと、2つ勝ちたくなる」。初Vでつかんだ確かな自信を胸に、佐久間は2025年の年間女王タイトルへと歩みを進めていった。
