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76位だった初日は「泣きそう…いや泣きました」 櫻井心那が“自室イメトレ”で超カムバック

いつの間にか上位戦線。今季3勝の櫻井心那がこの日も順位を押し上げた。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2023年9月30日 18時55分

初日の「75」で発奮。櫻井心那がスルスルとリーダーボードを駆け上がった
初日の「75」で発奮。櫻井心那がスルスルとリーダーボードを駆け上がった (撮影:佐々木啓)

<日本女子オープン 3日目◇30日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>

ジワリ、ジワリ…。初日に3オーバー・76位と出遅れた今季3勝の櫻井心那は、「だいぶカムバックしました」とニヤリと笑う。2日目に5つ伸ばして23位に上がると、3日目も連日の60台となる「69」を記録。トータル5アンダー・6位タイまで浮上した。

そらと心那は同い年【写真】

開幕時とは別人のようなプレーだが、その違いはショットにある。「先週からずっと(ショットが)悪くて。全部右に出ていました。フェースが開いて、半分もパーオンしない状態」。その先週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」は14位で終えたが、一気に福井でツケが回ってきた。

フェアウェイキープ数は『8』で、パーオン数が『11』だった初日は、そんな数字以上にショックが大きかった。「本当にひどい。泣きそうになりました…。というか後で泣きました」。大会開幕前から続いていた“今年イチ”の不振はダメージがあまりにも大きい。

その改善に向けて行ったのは、部屋でのイメトレ。状態が良かった5月頃の映像を見たり、意識すべきポイントを書き溜めてきたメモを見返すなどして、まずは“理想”を頭に叩き込んだ。さらに、それを体に浸透させるため、ボトルを持ち、前傾姿勢を維持したまま特にダウンスイングを意識する動きを何度も何度も繰り返した。すると不思議なほどに、2日目にはショットが“当たる”ようになった。

ルーキーイヤーだった昨季は、5勝を挙げたステップ・アップ・ツアーが主戦場。毎週のように試合が続くレギュラーツアーは今年が本格参戦初年度だ。ここまでに28試合に出場。何度も優勝争いを繰り広げ、3週前には地元・長崎県開催の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」で大きな注目を集めるなど、疲労が蓄積しても不思議ではない。それも、この不振の原因と考えている。

初めて出場する日本一決定戦は、「最初、変な感じでした」と、その雰囲気に違和感も覚えた。ただ、そうやって初日に苦しんだことで“副産物”も。「もうどんなミスをしても落ち込まない。あまり怖がらずにやりたい」と、強いメンタルを手にすることができた。

首位とは6打差。まだ逆転優勝の可能性も残している。順位による女子ツアーの最大逆転優勝記録(4日間)は、1989年に谷福美が記録した「コニカカップワールドレディス」初日51位タイからの勝利。それを“大幅更新”する目もまだある。「まだ調子がいいわけではないので、ひとつひとつのショットをいいイメージで打っていきたい」。涙から歓喜へ。よみがえった櫻井は、ひたすら上だけを見つめている。(文・間宮輝憲)

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