＜ダイキンオーキッドレディス 初日◇2日◇琉球GC（沖縄県）◇6560ヤード・パー72＞
ついに国内女子ツアーの新シーズンが沖縄で開幕！ 昨年は山下美夢有が21歳で最年少女王の栄冠をつかんだが、2023年に輝くのは誰なのか。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が見どころを紹介する。
大西氏は今年の女子ツアーで中心になりそうな選手を4人ピックアップ。「やっぱり開幕ということもあって練習からも緊張感が伝わってきます。そのなかでは山下美夢有さんがすごい。SNSで載せているスイングはさらにレベルアップしている。間違いなく上位に来る選手の一人」とまずは女王の名前を挙げる。
次に、昨年未勝利に終わった人気選手の活躍にも期待する。「原英莉花さんもだいぶよくなっていると聞いています。本当に飛びますからね。ドライバーとアイアンはコブラにチェンジしました。コブラのアイアンといえば、アイアンがなかなか決まらなかったジャスティン・ローズも今はコブラに落ち着いて、しかも勝ちました。原さんも裏付けがないと使わないはず。楽しみな選手の1人ですね」。
残りの2人は大西氏が今週練習場で見ていて気になった選手。「小祝さくらさんは球が落ち着いて重いボールになっていました。そして吉田優利さんは去年勝てなかったぶん、今年は覚悟を決めてプレーしてくるんだと伝わってきました。吉田さんも本当に球が重くなっています」。
“重い球”がキーワードになる開幕戦での注目もこの4人。「沖縄はアゲンストだったりサイドから重い風が吹くのでボールが重くないとダメ。それを考えるとちゃんと芯で捉える技術が必要。いまの4名の選手が来るんじゃないでしょうか」と予想する。
そして、ベテランや次々と出現する若手の存在も無視できない。「上田桃子さんや菊地絵理香さん、青木瀬令奈さん、藤田さいきさんにも注目してもらいたい。勢いのある若い子が来ているんですけど、ベテランが盛り上げようとする部分が伝わってくる。今年は38試合ありますけど、ぜひ華麗な姿を見てもらいたいですね」。
今シーズン、初優勝が期待される若手には4人を推す。「菅沼奈々さん、金澤志奈さん、脇本華さん、安田祐香さんは楽しみですね。根拠としては優勝する人を間近で見ていること。去年とか一昨年とか4人とも最終日最終組で回っています。優勝した人のプレーはすごく勉強になるんです。オフにやるべきことが明確になって、それを穴埋めして開幕に来ている。ほかにも佐久間朱莉さんだったり初優勝が楽しみな選手はいっぱいいますよね」と話す。
大西氏が長年バッグを担ぎ、苦楽をともにしてきた青木瀬令奈は、2月に誕生日を迎えて30歳で新シーズンに臨む。昨年は1勝を挙げて、自身のキャリアハイとなるメルセデス・ランキング11位で終えた。今年の状態について大西氏は「青木選手は魂が燃えている状態にある」と感じている。
「30歳を超えて何が難しいかというと、気持ちが下がっていってしまうこと。自分を奮い立たせて、そこを向上できたら間違いなくいいプレーができる。どれだけ自分の置かれている立場を理解して、ゴルフに向き合えるかにかかっているんじゃないかと思います」。青木だけでなく大西氏の気持ちも間違いなく上がっている。
そのうえで、女子ツアーの人気を牽引し、今年で日本ツアーから引退するイ・ボミ（韓国）の存在にも触れる。「スマイル・キャンディと言われてみんなから愛されていた。今年が最後なのでボミさんのプレーを間近で見てもらいたい。観戦することで人間性が素晴らしくてみんなから愛されていることが感じられると思います」。
昨シーズンは山下美夢有が他を圧倒する強さで女王となったが、今年は混戦になると大西氏は予想する。「女王争いが最後までわからない展開になると思う。その理由はひとりひとりの技術があり得ないくらい上がっているから。技術は同じものを持っているのであとは度胸。覚悟がどれだけ決まっているかです。本当に誰が勝ってもおかしくない。毎年優勝し続ける選手、新垣比奈さんのような優勝から遠ざかっている選手、初優勝の選手、誰もが優勝する可能性があります」。年々レベルが上がっている女子ツアーはまさに群雄割拠。今年も様々なドラマが生まれそうだ。
解説・大西翔太（おおにし・しょうた）/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす！！ 飛距離アップの正解』が発売中。
